第41話 ページ43
「俺も、姫花が言うことには賛同できる。」
千切くんの目線は姫花ちゃんから潔くんへと移る。
潔くんは続けた。
「俺も一緒だ。千切、お前と。怖いから、終わりたくないから戦うんだよ。」
と。
最後に、姫花ちゃんと潔くんは一度お互いの顔を見合った後、2人で一緒に言い放った。
「「失くす覚悟のない人間に、夢なんか掴めるわけがないっ!!」」
と。
その言葉はきっと、彼が1番言われたくない言葉の様な気がして私はならなかった。
なんでかわからないけどただそんな気がした。
でも、そんな私の予感は当たっていた様で。
「お前らに何がわかんだよ。」
と、千切くんは私たちの方を睨みながら冷たく言い放った。
千切くんは、そのまま部屋から出て行ってしまう。
部屋に残された3人には、少し気まずい雰囲気が残る。
そんな空気を壊す様に、姫花ちゃんが私たちの円の中から飛び出していく。
「豹馬くん!待って!!」
と、言って。
モニタールームに取り残された私と潔くんは、急な姫花ちゃんの行動に驚き、お互いの目を見合う。
すると潔くんの口から戸惑った様な声が出てくる。かと思えば、潔くんは手を組んで少し考え込む。
「えっと、潔くん?」
気になった私は潔くんに尋ねる。
「あ、いや!この後どうしようかなって!」
「あー。とりあえず、今日は部屋にもう戻ろうか。」
「いや、でも千切たちが…。」
潔くんはうーんと、悩んでいた。
部屋に戻るべきか、否か、と。
そんな潔くんに、私はさらに声をかける。
「多分大丈夫だと思うよ。姫花ちゃんもついてるだろうし。」
「そうならいいんだけどな。」
「きっと平気だよ!てか、潔くんはもう戻って寝ること!」
不安そうな潔くんの背中を私は押す。
これ以上、彼を心配させる必要はないから。多分、今起き続けてたら潔くんさらに気にしちゃいそうで。
無理にでも、寝させて少しでも忘れられる様に。
急に背中を押されて追い出された様な感じになってしまった彼は「え、」とただ困惑していた。
「今日もう夜遅いからさ。明日の試合に響くかも。」
それを聞いた潔くんはハッとした様な顔をする。
「明日、練習してから試合だったはずだからさ、体力少しでも回復させなきゃ。」
「そっすね!」
私がさらに言えば、今度は素直に賛同してくれて。
急いで部屋に戻ろうとする。その様子を見て、本当にサッカーが好きなのだと、私は唐突に感じた。
「Aさん、おやすみ!」
「おやすみなさい。」
そう言って私たちは別れた。
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作者名:そっち | 作成日時:2023年11月30日 14時