第40話 ページ42
「医者には、もう一度同じ箇所をやったら選手生命は危ういって言われた。俺にもあったんだ。潔に姫花さん、それに、Aさん。」
千切くんはモニターから私たちの方に目を移して続けた。
「自分のゴールに酔いしれて眠れない夜と、世界一のストライカーを目指していた瞬間が。」
千切くんの話に入れる隙があっても、私たちはただ黙って彼の話を聞いていた。それはきっと、ここにいる全員が彼になんて声をかければいいのかわからなかったから。
そんな様子を気にせず、千切くんは続ける。
「でも今は、また怪我をするのが怖い。あんなに気持ちよかったサッカーと夢を失うのが怖いんだ。」
千切くんは最後に、こう続けた。
「俺は、夢を諦める理由を探しに
と。
千切くんは、言い終えると立ち上がり、ここから去ろうと歩き始める。誰も千切くんに話しかけない、かけれないと、そう私が思った時。
「…嘘ついちゃダメ!豹馬くん!」
と、姫花ちゃんが千切くんに向かって声を荒げて言った。
千切くんは、動かしていた足を止め、姫花ちゃんの方を向く。お前に何がわかる、とでも言いたそうな顔で。
「
千切くんはムッとした顔で、姫花ちゃんに、
「選手でもない、アンタに何がわかる?」
と聞く。
そう言われた姫花ちゃんは少しだけ動揺する。
だけど、すぐに落ち着きを取り戻して口を開く。
「私は…!選手じゃないけど、豹馬くんとは全然違う立場だけれど…!それでも私も…!ここにいるみんなと同じ様に叶えたい夢があるもん!」
叶えたい夢がある、と一才曇りのない目で言った姫花ちゃん。そして姫花ちゃんは必死に訴え続ける。
「だから、豹馬くんの気持ちだって完璧には無理でも、少しは私にだってわかるよっ!!」
と。
千切くんはそれでも納得していないのか、先ほどから厳しい目をして、姫花ちゃんを見続けている。
気まずい空気がモニタールームを包む中、今まで黙っていた潔くんが口を開いて、話し始めた。
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作者名:そっち | 作成日時:2023年11月30日 14時