【ブルーロック】悪女だった私は今＿＿。 (ページ41)

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第39話ページ41

最後の仕事である館内の見回りを終えた私。
少しばかり、時間に余裕があるのでサッカーの勉強をするためにモニタールームに向かう。

廻がいる5号棟のモニタールームの中に入るとどうやら先客が居たらしい。
それも3人ほど。
「Aちゃん〜！どうしたのー？」
そのうちの1人、姫花ちゃんは私に気付き聞いてくれる。その声を聞いて、中にいた先客の残りの2人、潔くんと千切くんもこちらを向く。

「ちょっとサッカーの勉強でもしようかなって。プレー見た方がわかりやすいと思うから。そっちは？」
「潔のプレーについて話してた。ほぼ俺の見解だけど。」
千切くんがそう答える。
「豹馬くん、凄いんだよ〜！私が思ったこととほぼ同じことをすらすら言うの！」
「凄いよな、千切。自分のプレーじゃないのに。」
姫花ちゃんの言葉に、潔くんは賛同する。
「うんうん！でもでも〜！」
姫花ちゃんと潔くんは2人で何か話が盛り上がっていた。
聞こえたワードから推測するに、潔くんの武器について。

私は、特に話に参加することもなく、なんとなく千切くんの隣に座る。
千切くんも、潔くんと姫花ちゃんの会話に参加することもなく、ただジッと千切くんの前にあるモニターを眺めていた。
私もそれを真似するように、モニターを見る。
だけど、全く何が起こってるかわからない。

だから。
千切くんに聞こうと口を開きかけたその時。
姫花ちゃんが千切くんに、
「ねぇねぇ、豹馬くんの武器って何？」
と、問いかけていた。

千切くんは少し考えた後、ただ一言。

「言いたくない。」

と、だけ答えた。
でも、潔くんと姫花ちゃんは知りたいのか、めげずに説得しようとしていた。
だけど、彼らの言葉はきっと千切くんが言われたくない言葉なのだと思う。だって、彼の気持ちなど他人の私が、私たちがわかるはずもないのだから。結局、同情をされて惨めになるのは彼本人だ。きっと。

「右膝十字靭帯断裂。一年前、俺は怪我をした。」

そんなことを考えていたら、突如私の隣から声が発せられた。千切くんが言ったのだ。

右膝十字靭帯断裂。

多分、千切くんがした怪我の名前。
思い出したくはないはずだ。だけど、彼がそんな言葉を出した。私の心配なんていらなかったようで。姫花ちゃんは、もう千切くんの心を開かせたようだ。わかんないけど、多分。

一言言ってしまえば、あとは簡単で千切くんの口から彼自身のことについて語られていた。