【ブルーロック】悪女だった私は今＿＿。 (ページ35)

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第33話ページ35

「みんなお疲れ様。できるだけ早く着替えてね、汗冷えると体調崩しちゃうかもしれないからね。」
と、私はチームZのみんなに声をかける。今は、馬狼くん率いるチームXとの試合後。

今日から始まった五号棟各チーム総当たり戦の初戦では、絶対的王様馬狼くんがいるチームXにチームZが惨敗。
圧倒的な差がついて負けてしまったこの試合。メンタル面がボロボロになっていないか、と考えていたけれどそれは杞憂だったらしく。
特に、潔くんは絶望するどころか今回の試合で何か大事なものを掴んだようだった。
姫花ちゃんと潔くんを中心に今日の反省点や、この選考(セレクション)で求められている力などを話しているうちに、私は気づかれないよう静かに部屋を出る。きっと私はここにいても役に立たないから。少しでも、仕事を進めようと私は足を動かしていく。

「チームXの皆さん！勝利おめでとうございます！」
次の仕事場であるチームXの部屋の中にそう言いながら入る。
「馬狼くん、凄かったね！ハットトリック？みたいなの決めてたよね、確か！」
私はチームXの中で1番活躍していたと思った馬狼くんに話しかける。馬狼くんはこちらをチラリと見たかと思えば、すぐ視線をどこかに向けたまま
「ったりめぇだろ。俺は王様(キング)だからな。」
と答える。
「そっかぁ。流石だね、王様(キング)！」
私が、そう言ってみせれば彼は満足そうにする。
「んで、お前は何しに来たんだよ。」
馬狼くんがようやく私の方を見て聞いてくれる。
「あ、！そうだった！空のボトルと使用済みのタオル回収しようと思って。」
「そーかよ。そっちにまとめてある。」
馬狼くんは、指を指して教えてくれる。
ここ数日で分かったことだけど、馬狼くんは見た目や口調から不良だと誤解されやすいが、実際は面倒見が良く、少し潔癖症の素質があるようだった。
「ありがと、じゃあもらってくね。」
「右が使用済みだからな！間違えんなよ。」
「はーい。」
私は、馬狼くんに言われた通り右側に置かれたタオルとからのボトルをとってチームXの部屋を出る。

洗濯機のある部屋にタオルを、食堂にボトルを持っていきとりあえずここの棟で今できる仕事はおしまい。
残りの仕事は、残りの試合が終わってからなので別の棟へと移り、目的の部屋へと向かうため曲がり角を曲がろうとした時。

灰色のコンクリートで出来た廊下に、“ドン”という鈍い音が響き渡った。