第29話 ページ31
「いーえ。こちらこそ手伝ってくれてありがとね。」
「そないにお礼言わんくてええわぁ。困っとる人助けるのは当然なことやさかい。」
氷織くんはそう言って、ニコっと笑う。
私は持ってきたお菓子を手に取り、袋を開ける。その中から、個別の袋に入っているお菓子を一つ取り出し、氷織くんに渡す。
「これ、本当に美味しいんだよ〜!食べたことあるかもだけど!」
「ほんま?僕、食べたことないから楽しみやなぁ。」
氷織くんは嬉しそうに袋を開け、口に運ぶ。
「えー!京都では売ってないのかな?」
「どうやろ?ん、これうまいなぁ。」
氷織くんは、食べた瞬間にそう言ってくれる。
「でしょ!?これお気に入りなんだよね〜。」
自分が好きなお菓子を他の人に美味しいと言ってもらえて少しばかりテンションが上がる。
「ふふ、ホンマに好きなんやなぁ。」
「だって美味しいんだもん!氷織くんは好きなものとかないの?」
私のそんな問いに氷織くんはしばらく考えて答えてくれる。
「そうやなぁ、ゲームが好きかなぁ。」
「ゲームかぁ。じゃあ、得意だったり…?」
「僕、がっつりゲーマーやからなぁ。人より得意なんちゃうかな。Aちゃんは?」
首をコテンと傾げながら私に聞いてくれる。
私はしばらく考えてから、
「ゲームは好きなんだけどね、RPG系が苦手で中々できないんだよね。」
と答える。
「ほんま?なら、僕少し教えよか?」
「いいの!?教えて欲しい!」
「ええよ。じゃあ、今度一緒にやろうな。」
私は彼のその言葉に頷く。
彼は、私の反応に嬉しそうに目を細めた。
そんな彼の様子を見ていると私まで嬉しくなってくる。
「もう、こんな時間か。」
氷織くんと、ゲームの話で盛り上がっているといつの間にか時間が経っていたようで。気がつけば30分ほど喋っていたようだった。
「そろそろ僕も練習戻らないかんわ。」
「そうだよね、ごめん!つい話しすぎちゃって…。」
私は顔の前で手を合わせて氷織くんに謝る。
「えぇよ。僕も楽しかったし。また機会があったら話そうなぁ。」
氷織くんは、そんなの気にしていないといった様子で答えてくれる。
そんな態度に私は少し安心する。
氷織くんが、楽しめたなら結果オーライかな。
「じゃあ、氷織くん練習、頑張ってね!」
私と氷織くんは一緒に食堂の入り口まで行き、手を振って別れる。
リフレッシュもできたことだし、残りの仕事もがんばろ。
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作者名:そっち | 作成日時:2023年11月30日 14時