【ブルーロック】悪女だった私は今＿＿。 (ページ23)

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第21話ページ23

彼はこっちに寄ってくるや否や私に気づき、笑みを見せながら私に声をかけてくれる。

「水無瀬さんだよね？凪が迷惑とかかけてない？」
「はい、水無瀬Aです。残念ながらないとは言い切れないけどかけられたとも言い切れない、です。」
私の曖昧な答えを聞いた彼は少し笑って、
「なんだよ、それ。」
と言う。
「いや、話しかけたのはこっちだし、直接的な被害？みたいな迷惑はかけられてないからなんとも言えないかなって。」
「ふーん。まぁ、凪のこと見といてくれてありがとな！一緒にいたんだけど逸れちゃってさー！」
「彼と仲良いんですね、すごく大切なのが伝わってくる。」
「そうか？まぁ、凪は俺の宝物だからな！！」
そう言った彼は今日見た彼の笑顔の中で一番の笑顔だった。
そこからも彼が凪と呼ぶ人を信頼、大切にしているのが伝わってきて、少しばかり羨ましさを感じた。いつかもう一度私も、誰かとお互いに信頼し合って笑い合いたい。廻のことは信じているけれど。それでもやっぱり心のどこかでヒロインである姫花ちゃんに惚れて、私のことを軽蔑するのではないかと思っている。今はただそうならないことを願うばかりだ。

「あ、そういえば水無瀬さんって俺のことわかる？」
そんな彼からの問いに私は首を横に振る。
「ごめんなさい、まだ名前とか覚えてなくて。」
「いいよ、別に。言ってなかった俺も悪かったし。」
彼はそう言って自分の名前を伝えてくれた。
「俺は御影玲王！んで、こっちの寝てるのが俺の相棒(パートナー)の凪誠志郎！」
「凪さんと御影さん、ですね。」
「そうそう！あ、悪いけど俺の事あんまり苗字で呼ばないようにしてくれね？苗字あんま好きじゃないし、なんか距離感じるし！」
最後に彼は敬語もなしで、と付け足し笑った。

「えっとじゃあ玲王くん…？さんの方がいいかな、年上な気がするし。」
「いいよ、くんで。どうせ年が変わるって言っても一歳ぐらいだろ？」
「そっか。じゃあ玲王くん、改めてよろしくね。」
そう言いながら私は手を差し出す。
握手でもしようかな、と思ったからだ。それを見た彼も
「ん、俺もAって呼ぶな。よろしく。」
と言いながら手を出してくれる。
そして私たちは握手をした。
私たちがお互いの手を離した後、足元から声がした。

「んー？玲王？話終わった？」

どうやら、凪さんは目を瞑っていただけで起きていたらしい。