第9話 ページ11
「Aほんとーにいなくなっちゃうの…?もう、おれのすーぱーぷれーみてくれないの?」
廻は泣きそうな声で私に尋ねる。
「うん…。ごめんね、引っ越さなきゃいけないんだって。」
そう、私は引っ越すことになってしまったのだ。理由は親の転勤。
だから、彼と会えなくなる。
そして今日、私たちが会える最後の日なのだ。
予め、めぐるには伝えてあった。
最後に喧嘩別れなんで嫌だったから。
せめて、最後までいい思い出でありたい。
それでもやっぱり、まだ小さい廻には受け入れきれなかったらしく。それも当然かなと思う。
私だって転生さえしてなければ、普通の女の子であれば仲が良かった子と離れたくなくてぐずっていた、と思う。
実際、私は前世、大好きだった男の子たちと離れたくなくて、離れた結果自ら命を絶ったのだから。
「やだよ…。Aと離れたくない…!!」
廻はついに泣き出してしまった。
「廻!?泣かないで?」
私は廻を落ち着かせようと言葉を紡ぐ。
「今、離れたとしてももう一生会えなくなるっていうわけじゃないでしょ?」
廻は泣く方に意識が向いてしまっているのか私の言葉に返事はない。
それでも、聞いてくれていると信じて私は再び言葉を紡ぐ。
「もしかしたら、大人になった時また会えるかもしれないよ、人生何があるかわからないんだから!」
「ほんと?」
廻は少しだけ落ち着いたのか今度は返事をしてくれる。
そして少しだけ考えた表情を見せた後、
「じゃあ、おれがまんする!Aとまたあえるひまでおれサッカーしてすーぱーぷれーまたみせる!」
そう言ってくれたんだ。
泣いてしまって少し赤くなってしまった目を細くして笑ってくれたんだ。
「じゃあ、楽しみにしてるね!また廻のスーパープレー見れるの!」
私たちは、もう一度お互いの目を見せ合って笑ったのち再開する事を、もう一度出会える事を願って別れた。
だけど私は知っているんだ。
ああは言ったものの結局会える可能性はほとんどゼロに近い事を。
この広い世界で、たくさん人がいるこの世界でもう一度彼と出会うことができる確率が高いわけがない。
おそらく彼は私のことを忘れてしまうのだろう。幼少期の短い期間だけの思い出なんてすぐになくなってしまう。
それでも、もし彼とまた会うことができるのなら。その時は今と同じように2人で笑い合いたい。
この時の私は彼ともう一度会えることも、ヒロインらしき子が現れることもまだ知らなかったんだ_______。
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作者名:そっち | 作成日時:2023年11月30日 14時