無限状編:2 ページ49
愈史郎が部屋を出たのを確認するとAは自分の胸に手を添える。
『…ハァ(落ち着いて私…彼女は鬼だけど協力者。)』
「あの…よろしければお茶でも用意いたしましょうか?」
『いや…いえ、いただきます。貴方も鬼殺隊本部に来てる以上、信頼をするのは礼儀ですし。』
「ありがとうございます。」
珠世は静かにお礼を伝えるとAの前にお茶を用意して差し出した。
「紅茶ですけど…。」
『紅茶…ですか…初めて飲むかも。』
緑茶とは違った香りに驚きつつも、恐る恐る紅茶を口に含むと、艶やかな香りが鼻から抜けていった。
『っ!美味しい。』
「ふふ、気に入っていただけて何よりです…所でお話とは?」
『…単刀直入に言うと、鬼の血が欲しいんです。』
「鬼の血を…ですかっ?」
珠世はAの発言に顔を青ざめる。
「鬼殺隊である貴方が鬼になりたいとおっしゃるのですか?」
『別に…鬼になったからと言ってのうのうと生きるつもりも毛頭ないですから。』
ビキビキッとAの目元に向けていくつもの血管が浮かび上がり、眉間にシワが寄る。
「嫌悪してまで鬼になりたい理由を聞いても?流石の私も理由も無しにいたずらに貴方を死なすわけにはいかないので。」
『執念…みたいなものですよ。昔私の両親を殺した鬼を殺してやりたいと思うのは異常者ですか?』
Aの言葉に珠世は返す言葉を考えた。
「それは…人の捉え方によります。私は貴方と似たような感情を持っているので、痛いほどに理解は出来ますが…鬼になる事を私は勧める事はできません。」
『…。』
「どうしてもと言うのであれば、自己責任でお願いします。」
『珠世さん?』
彼女は何やら小瓶を取り出すと爪で人差し指の皮を切って数滴垂らしたのだ。
「私は…医者として、生きたいと願う人為に己が血を与えてきましたが…成功したのは愈史郎1人だけ。貴方がこの血を受け入れても身体が受け付けるかはまた別問題と言うことです。」
『…それでも、鬼になって少しでも勝率が上がるなら、私は奥の手で使うつもりです。』
「御武運を…。」
『珠世さんも。』
Aは小瓶を手に外に出ると案の定愈史郎が殺気を込めた瞳で睨んできた。
「貴様…鬼になるのか。鬼狩りのくせに。」
『なってでも殺したい相手がいる。私はこの命をかけてでもその鬼と戦わなければならないから。』
じゃあねと愈史郎から目を逸らしてAはその場から消え去った。
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ぴーたん(プロフ) - 夏蜜柑さん» 無一郎君もまだまだ活躍するので温かい目で見守って頂いただけると嬉しいです(〃ω〃) (2020年2月25日 22時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑 - 推しが夢主に惚れたら(//∇//) (2020年2月25日 21時) (レス) id: 1f2db930a1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーたん(プロフ) - 夏蜜柑さん» 読んでいただきありがとうございますっ今回は本当、今までしてこなかった恋愛パートをド派手にぶっ込んでみました笑笑本当宇髄さんの胃にいくつ穴が開くのやら…今後の男性陣が末恐ろしいです笑 (2020年2月24日 18時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑 - 煉獄さん、炭治郎…。夢主めっちゃモテてスゴイです!派手派手ですねww。そのまま伊黒さんと無一郎くんも夢主に惚れるのかな〜。続き楽しみです (2020年2月24日 17時) (レス) id: 1f2db930a1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーたん(プロフ) - 夏蜜柑さん» この世界の宇髄さんはもう子供離れする事が最大の課題ですね笑リクエストありがとうございます!私もそろそろ無一郎君や風柱との絡みも考えていたところです!ご期待に添えるような内容になれるかはわかりませんが、今後ともよろしくお願いします! (2020年2月23日 17時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴーたん | 作成日時:2020年2月12日 10時