宇髄さんの所のお弟子さん

風柱3 ページ43

「どういうつもりですか‼玄弥を殺す気か！」
「殺しゃしねぇよォ、殺すのは簡単だが隊律違反だしよォ…。」

トッと実弥は軽やかに砂利の上に降りる青筋を立てて笑みを浮かべた。

「再起不能にすんだよォ、ただしなァ今すぐ鬼殺隊を辞めるなら許してやる。」
『っ(目的はそっち⁉それにしたって歪んでる！)』
「ふざけるな‼あなたにそこまでする権利ないだろ！辞めるのを強要するな！」

家族を大切にする炭治郎の実弥への怒りはこれだけでは治らないらしい。

「さっき弟なんかいないって言っただろうが‼玄弥が何を選択したって口出しするな！
才が有ろうが無かろうが、命を懸けて鬼と戦うと決めてんだ！兄貴じゃないって言うんなら絶対に俺は玄弥の邪魔をさせない‼玄弥がいなきゃ上弦に勝てなかった！再起不能なんかさせるもんか！」
『流石の私も、炭治郎の意見に“音柱”として賛成です。無意味な犠牲は出さないで下さい…ましてやただでさえ人手不足の鬼殺隊同士でなんてっ、ふざけてる！』

しかし2人の言葉が逆に実弥の闘士に火をつけたのか、先程とは格段に違う速さで一番目障りな炭治郎を殴りにかかったが、炭治郎も間一髪の所で実弥の腕を止め風柱相手に蹴りを入れる事に成功したのだ。

慌てて炭治郎は善逸に玄弥を逃すように指示するも、実弥はすかさず炭治郎の顔に回し蹴りを喰らわせようと体勢を立て直す。
炭治郎も己に向かう攻撃に身構えるも、Aが2人の間合いに入って炭治郎と実弥を両側へと押し飛ばしたのだ。

「テメェ牛村ァ…いい度胸じゃねぇかァ。」
『こっわ‼この人目だけで人殺せるって！)私はあくまで中立を保ってるだけです！先輩も落ち着いてくだ・・・っ』

頭に血が上った実弥が忠告なぞ聞くわけでもなく、A頭を勢いよく掴むと膝蹴りを顔面に食らってしまい、鼻から血を流したのだった。
鼻を押さえてよろけるAに実弥はニヒルな笑みを浮かべる。

「言ったよなァ？手加減しねぇって、女子供だろうが関係ねぇぞォ？」
『…もう頭きた。』
「Aっ⁉」

その後が悲惨だった。
ブチギレたAと炭治郎、それぞれを止めようとする隊士で乱闘が始まってしまったのだ。

乱闘が鎮まったのは夕刻で、今回の乱闘に関わった者皆上からお叱りを受け、炭治郎とAは暫くの間風柱との接触が禁止されたのは言うまでもない。

そして勿論騒動の内容は宇髄にも知らされており、帰宅後宇髄に5時間にも渡る説教をさせられたと言う。

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