宇髄さんの所のお弟子さん

憎めない ページ36

『うん、だいぶ感覚も取り戻せてるね！これなら次の稽古場に行っていいよ！』
「ありがとう！これもAと宇髄さん達のおかげだよ！」
『いいのいいの！炭治郎は病み上がりなのによく10日で体を戻したよ！凄い！』
「そ、そうかな？」

照れる炭治郎にAは頷くも、その様子を宇髄は遠目で睨んでいた。

「…近い。」
「天元様？」
「近いとは？別に普通なのでは？」

宇髄の言葉に若干眉を下げる雛鶴である。

「どう見たって近いだろあれ！話すだけなのに何であんなにも接近してんだよ！俺はまったく認めてねぇけど⁉アレでデキてないとか逆に疑わしいんだけど⁉うちの子見てアレだけってのもなんか腹立つ、寧ろ接吻の一つでもしろっての！もどかしい！」
「いや、賛成なのか反対なのかどっち何ですか…。」
「反対だわ！」

反対なのかい、と嫁達は苦笑いを浮かべ、今も尚会話をしている2人に目線を向ける。

「でもお似合いじゃないですか、好青年ですし、A自身満更でもな「あーあー！聞きこえねぇ！ド派手に聞こえねぇー！」

流石の嫁達も、子離れ出来ない宇髄に若干の怒りと呆れを抱いたのはここだけの話。

「でも天元様が仮に炭治郎君を認めなくとも、恐らく彼女を好く殿方達は諦めが悪い方が多そうですね。」
「わかります！それこそ冨岡さんみたいな！」
「確かにー！」

何故か会話に花を咲かせる嫁達にケッと悪態をついて宇髄は2人の元へと足を向ける。

別に釘を打つ為とかじゃねぇケド…さ。

「よう、身体出来上がってきたようだな。」
「宇髄さん！はい！宇髄さん達のおかげです！本当にありがとうございました！」

これが善意の塊だからタチが悪い。

「…ったく、ホント…憎めたらどんなに楽か。」
『師匠？』
「宇髄さん？」

どこか吹っ切れた様な様子の宇髄に炭治郎とAは首を傾げる。

「なんでもねぇよ！いいか炭治郎！Aを泣かしたらお前の事地獄でも追いかけて、皮がむけても辞めずにド派手に引きずり回してやるから覚えておけよ！」
「っ！はい！」

その意味がわかったのか、炭治郎は真剣な顔で返事して次の稽古場へと足を進めたのだった。

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