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執念の炎 ページ32

「これくらいなら、塗り薬で十分ですね。」
『ホント助かりますよー、忙しいのに。』
「いえ…私の代わりにカナヲの相手をしてくださってるんですからこれくらいお礼にもなりませんよ。」
『全然!寧ろご褒美ですよ!』
「ふふ…変なAさん。」

しのぶさんの指が優しく腫れた部分に薬と共に滑ってゆく。
誰かに背中を見せるなんて、家族以外だとしのぶさんしかいないのかもしれない。

「…勿体無いですね。」
『へ?』
「傷…せっかく綺麗な肌をお持ちなのに、体には以前の戦闘の火傷跡と背中にはこんなにも痛々しい焼印が今も残っている事が。」

しのぶさんはまるで傷を慈しむようにふんわりと焼印の部分に手を乗せられる。

『…別に私は傷の事で悔いた事なんてありませんよ?
確かに他から見れば痛痛しく見えるかも知れませんが、これが私の生きた証でもあって、死に損なった証でもあるんです。』
「…。」
『今までは運が良かっただけなんで…でももし、次の戦いで多目の鬼を見つけたならば私は…生きて帰るつもりはないです。』

背中に触れている胡蝶の手がぴくりと反応を示した。

『もとより生きて帰れる確証なんてないんですけどね…。
それでも、無力だったあの頃の私の無念を果たす為、殺された本当の両親の仇を取る為に…っ例え差し違えてもあの多目の鬼を私の手で殺してやりたいっ!
…私が殺す事が叶わなくても、致命的な一撃でもいいんです、それさえ与える事が出来れば私は安心して2人の所へ行けるっー!』

Aの瞳の奥に燃えゆる執念の炎が揺らめいだのがわかった。
同時に彼女の執念の炎が己と似ているものだと思った時、あの時の怒りが湧き上がった。

私は、姉さんを殺した鬼を殺す為に自己犠牲を払ってでも倒したい。
その執念の炎はお互いに計り知れない程に恐ろしいとさえ思えた。

「…お互いに、後には引けないようですね。」

“例えその選択が、他の誰かを悲しませる結果だとしても、私はその選択を間違いだとは思わない。”

揃った2人の声、それはまるでお互いを慰め合うように胸の内に溶けていった。

Aは隊服に再び手を通して部屋を跡にすると意外な人物が廊下を歩いていた。

小さな幸せ→←宣戦布告



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ぴーたん(プロフ) - 夏蜜柑さん» 無一郎君もまだまだ活躍するので温かい目で見守って頂いただけると嬉しいです(〃ω〃) (2020年2月25日 22時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑 - 推しが夢主に惚れたら(//∇//) (2020年2月25日 21時) (レス) id: 1f2db930a1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーたん(プロフ) - 夏蜜柑さん» 読んでいただきありがとうございますっ今回は本当、今までしてこなかった恋愛パートをド派手にぶっ込んでみました笑笑本当宇髄さんの胃にいくつ穴が開くのやら…今後の男性陣が末恐ろしいです笑 (2020年2月24日 18時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)
夏蜜柑 - 煉獄さん、炭治郎…。夢主めっちゃモテてスゴイです!派手派手ですねww。そのまま伊黒さんと無一郎くんも夢主に惚れるのかな〜。続き楽しみです (2020年2月24日 17時) (レス) id: 1f2db930a1 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーたん(プロフ) - 夏蜜柑さん» この世界の宇髄さんはもう子供離れする事が最大の課題ですね笑リクエストありがとうございます!私もそろそろ無一郎君や風柱との絡みも考えていたところです!ご期待に添えるような内容になれるかはわかりませんが、今後ともよろしくお願いします! (2020年2月23日 17時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴーたん | 作成日時:2020年2月12日 10時

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