ハジマリ ページ36
私は竈門家を飛び出してからあてもなく歩き続け、たどり着いたのは月がよく見える場所だった。
『凄い・・・手を伸ばしたら届きそう。』
誘われるように前に出るとグィっと後ろに引かれる。
「私を探している鬼狩りがいると聞いてわざわざ足を運んでみれば…己の足元も見えていないような小娘とはな、私の威厳も落ちたものだ。」
夜に響く低い声に息をのむ。
今後ろに立っているこの男が【鬼舞辻無惨】なのだと、そして彼の持つ桁違いの殺気に鳥肌が立つ。
「いくら敵とは言えつまらない死から命を救ってやったのだ、その口は息は出来ど礼すら言えないのか?」
『っ!!』
そう言われて目で足元を見ると、確かに私はあと一歩踏み出していたら間違いなく谷底に落ちていた。
『あ・・・のっ』
「ん?」
漸く振り絞った声で膝を着き、頭を深く下げながら振り返る。
『私をっ・・・に・・・っ』
「何だ、聞こえん。その口が飾りでない事を証明せよ。」
グッと無惨は慈悲もなく頭を踏みつけると楽しそうに見下ろした。
『私をっ…鬼に、してくださいっ』
「ッハ、ハハハハハハッ!!そうか、お前は鬼になりたくて鬼殺隊に入ったのか!」
『左様に…ございますっ』
「よかろう…お前を含め、剣士を鬼にするのはこちらとしてもまたとない機会だ。その願い聞き届けてやろう!…だが、ただ叶えてやるだけではつまらん。」
無惨が鳴女と呼ぶと、弦を弾いた様な音が響き、私はいつの間にか畳の上で膝をついていた。
「私の右腕でもある黒死牟と闘い、私をその気にさせて見ろ…そうすればお前の望む通り、私の血をお前に流してやる。」
『本当っですか?』
「2度は言わん、せいぜい楽しませてくれよ…小娘。」
再び弦を弾いた音が鳴ると頭に乗っていた重みが消えた。
恐る恐る顔を上げると、そこは襖や畳で構成されている空間に私はいる事に気づかされる。
「…立て…愚かな人間よ…。」
『っ!?』
無惨とは違った声に咄嗟に刀を構えて立ち上がると、顔に目を6つ持った鬼と目が合った。
「我が名は黒死牟…上弦の壱にして力を極めしもの…貴様の覚悟を見せてもらおう。」
『っ!?』
鬼舞辻無惨とは違った殺気にAの頬から一筋の汗が流れた。
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あまね(プロフ) - 続き気になる! (9月29日 0時) (レス) @page50 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーたん(プロフ) - meさん» いつも読んでくださりありがとうございますっ!!少しずつですが完結まで頑張っていこうと思います! (2020年10月22日 15時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - 右の星を押したら既に投票済みでした..いつも楽しく読ませてもらってます!続きもがんばってください! (2020年10月22日 12時) (レス) id: 47178bfabc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴーたん | 作成日時:2020年5月13日 14時