おつかい ページ33
杏寿郎は掃き掃除をしながら空をふと見上げるが今日も六郎は飛んで来ない事にため息を吐いた。
姉上が巡回に出て暫くが経った。
巡回中に任務に行くことはそう珍しくはないが、いつも何かあれば鎹鴉の六郎を飛ばして知らせていくれていたのに…。
姉上に何かあったのだろうか…。
嫌なことばかりが頭をよぎり、杏寿郎の瞳がジワリと涙で濡れる。
どうしようもない不安に押しつぶされそうになり、杏寿郎はおもむろに紐を解くと胸に抱く。
大丈夫・・・姉上はちゃんとここにいる、俺たちをちゃんと見守ってくれている。
そう思うと少しは気持ちが楽になった気がした。
「よっし!」
気合を入れ髪を結びなおすと、槇寿郎が篭をもって現れた。
「父上?」
「杏寿郎、悪いが千寿郎の散歩のついでにお使いを頼まれてくれないか?」
「はい!」
「大根とネギを1本ずつと、茄子を3つ。あと白菜を一束だ。」
「わかりました!」
槇寿郎から篭を受け取ると、千寿朗を背にお使いへと足を進め、向かった先は家から子供の足で10分程度のよくいく八百屋だった。
「あら杏ちゃん、こんにちは。今日は千ちゃんも一緒におつかいかい?」
「こんにちは小滝さん!父上に頼まれてきました!」
「まだ小さいのに偉いねぇ。それで、何がいるのかな?」
「大根とネギを一本と茄子を三つあと・・・−」
もう一つは何だったかなの思い出している時だった、後ろのを過ぎるキョウダイの会話に思わず反応して振り向いてしまう。
「姉ちゃん、早くーー!」
「もー、そんなに引っ張らないでよー。」
「だって、早く文鳥が見たい!」
「そんなに慌てなくたって文鳥は逃げないから。」
「いいのー!」
いつもなら気にならないはずの光景に息をのみ、姉の手を引っ張る弟の図に羨望のまなざしを向けて手を伸ばしていた。
「杏ちゃん?」
「ハッ!」
小滝に呼ばれて杏寿郎は我に返った。
「すみません!あと白菜を一束これにお願いします。」
「はいよ…そういえば最近Aちゃんを見ないけど元気にしてる?」
小滝は杏寿郎から篭を受け取ると、頼まれた野菜を入れながら何気なく質問を口にした。
「姉上は・・・ー」
わからない、と言おうとしてその言葉を飲み込んだ。
「今は仕事のほうが忙しくて留守にする事が多いですが姉上は元気です!」
「そうかいそうかい。」
「はい!それでは!」
野菜を受け取り、お金を渡すと不安を悟られないように杏寿郎は早足で家へと向かった。
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あまね(プロフ) - 続き気になる! (9月29日 0時) (レス) @page50 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーたん(プロフ) - meさん» いつも読んでくださりありがとうございますっ!!少しずつですが完結まで頑張っていこうと思います! (2020年10月22日 15時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - 右の星を押したら既に投票済みでした..いつも楽しく読ませてもらってます!続きもがんばってください! (2020年10月22日 12時) (レス) id: 47178bfabc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴーたん | 作成日時:2020年5月13日 14時