不安 ページ19
『はぁ…上手くいかないもんだなぁ。』
散りゆく鬼を眺めながら残念そうにAは刀を鞘にしまい込む。
もうかれこれ鬼舞辻無惨を求めて半年、何一つ手がかりを掴めずにいた。
「A…私だ、少し話がある。」
『父上っ！？』
家で隠等に聞いた手がかりを地図にまとめている作業をしている時だった。
父である槇寿郎が障子扉越しで声をかけてきたため、Aは慌て地図を丸めて見えない所へ隠した。
『ど、どうぞ…。』
「すまないな、急に。」
障子扉を開ければ、そこにはいつもの父としての顔ではなく炎柱としての顔の父が立っており、Aは少し緊張しながらも中へと招き入れた。
『それで、話とは？』
「あぁ…これはあくまで風の噂なのだが…お前が鬼舞辻無惨の居場所を鬼に聞き回っていると聞いたが、本当か？」
気まずそうに開かれた言葉にAは顔色を変えずに答えた。
『さて、何の話しでしょう？』
「いや、違うならいい。ただ…。」
槇寿郎は己の手より小さいA左手を取って優しく包み込んだ。
「炎柱として…君の師として、弟子の成長は嬉しいものだ、君はまだ入って半年と言うのに階級を乙まで上げた。それは実に凄く誇らしい事だが、父としては無理をしているのでは無いかと不安になる。」
『そんなっ無理だなんて…。』
「もし、君が刀の色を気にしてがむしゃらに刀を振るっているのであれば…いつか身を滅ぼす事になるぞ？そんなに焦って出世しなくたっていいんだ。」
『父上・・・心配してくれたんですね。ありがとうございます。でも、何を勘違いしているのかは分かりかねますが、私は大丈夫です。』
Aが困ったように笑顔を向ければ槇寿郎は言葉をなくす。
「A…。」
『私にとって刀の色は障害にはなり得ませんし、階級なんて気にした事もないです。ただ…確かに、少し杏寿郎や父上に良いところを見せたくて意地を張っている所があったのかも知れませんが、この通り！私は元気いっぱいです！』
胸をポンッと叩いてドヤ顔すれば槇寿郎は小さく笑みを零して降参の姿勢をとった。
「いやはや、我が弟子、娘ながら感服したよ…いらない心配だったようだな。」
『そんな…気にかけてくださりありがとうございます。』
「なぁA、お前だけは・・・ー」
道を踏み外さないでくれ、という言葉を槇寿郎は飲み込んで首を横に振って部屋を後にしたのだった。
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あまね(プロフ) - 続き気になる！ (9月29日 0時) (
レス) @page50 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーたん(プロフ) - meさん» いつも読んでくださりありがとうございますっ！！少しずつですが完結まで頑張っていこうと思います！ (2020年10月22日 15時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - 右の星を押したら既に投票済みでした..いつも楽しく読ませてもらってます！続きもがんばってください！ (2020年10月22日 12時) (レス) id: 47178bfabc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぴーたん | 作成日時：2020年5月13日 14時
