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最終選別を控えた夜、千寿郎は上手く寝付けず目が覚めてしまう。


「どうしよう…緊張して眠れない。」


少し夜風でもあたろうと貰ったAの羽織を手に歩いていると、何故かAの部屋が明るい事に気づく。


兄上だろうかと少し空いた隙間から覗き込むとなんとそこにはお酒を持った槇寿郎がいたのだ。


「(ち、父上!?)」


思わず出そうになった声を押さえる。
なぜ、Aを忘れろと言い続けている本人が、この部屋にいるのか不思議でならなかった。
いつも杏寿郎と喧嘩しているのを遠目で見たり、聞いていた、だから千寿郎はてっきり自分の父は姉上の事を嫌っていると思い込んでいたのだ。

それなのに今の槇寿郎は、今まで見たことがないくらいに穏やかな顔で盃を二つ置いてお酒を注いでいるではないか。
千寿郎は目を疑うような光景に口に手を当てながら様子を伺うことにした。


「…お前が家元を離れて、鬼殺隊を抜けてからもう何年だ?ひぃ、ふぅ…5年近くは経ったのか?そうか、もうっ5年っ。」


泣いているのか、槇寿郎の声が震えた。


「今日はお前の誕生日だったな、祝うのが遅れてすまんかった。お詫びというわけじゃないが、お前の成人祝にうんと上手い酒が手を用意したんだ。お前の口に合えばいいんだが。」


槇寿郎は穏やかな表情のまま、お酒を口をすると次から次へと楽し気に話をしたのだった。


「…とまぁ、いろいろと話したが、俺や杏寿郎、千寿郎は今年も元気にやってるよ。杏寿郎は相変わらずお前の影を追ってるし、お前の願いの通りに俺が忘れろと怒鳴っても、何度叱っても、頑なに忘れようとしない。
一体誰に似たんだかな…そうそう、あと千寿郎が明日から最終選別を受けることになったんだ。」


千寿郎は突然出た自分の話題に変に心臓が高鳴り汗が流れる。


「俺は反対したんだがアイツもお前と杏寿郎みたいに刀を振るいたいんだとよ。まったく、どいつもこいつも死に急ぎやって…。そんなんだからよA、お前も千寿郎の無事を願っててくれないか。」


ホロリと流れた槇寿郎の涙に、暫く千寿郎は目が離せなかった。



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あまね(プロフ) - 続き気になる! (9月29日 0時) (レス) @page50 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーたん(プロフ) - meさん» いつも読んでくださりありがとうございますっ!!少しずつですが完結まで頑張っていこうと思います! (2020年10月22日 15時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - 右の星を押したら既に投票済みでした..いつも楽しく読ませてもらってます!続きもがんばってください! (2020年10月22日 12時) (レス) id: 47178bfabc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴーたん | 作成日時:2020年5月13日 14時

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