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お元気ですか? ページ41

野犬の遠吠えが響く夜、大きな満月が顔を覗かせていた。


「姉上…あれから早5年が経ちましたが、貴方は今どこでお過ごしでしょうか。
六郎から貴方が鬼殺隊を抜けた事をお聞きしました。
最初こそはその事実を受け入れるまで時間がかかりましたが、俺は姉上が鬼殺隊を抜けて正解だと思ってります。」


その月を見上げながら、燃える様な髪を生やした好青年は糸がほつれて古びている組紐を持って月に掲げながら楽しげに話していた。


「だって貴方は巡回中に迷子になってしまうような人だから・・・。」


夜風に組紐が揺れると、玄関が音を立てて開くのがわかった。


「父上!お帰りなさい!」

「…杏寿郎、お前まだそんなボロボロの紐、捨ててなかったのか。」

「っ!!こ、これはそのっ・・・!」


紐を持ったまま出迎えた事を忘れていたため、槇寿郎に指摘をされると杏寿郎ら慌てて背中に隠した。


「・・・はい、俺にこの紐は捨てられません。これは俺と姉上を繋いでくれる唯一のモノなので。」

「いつまでアイツの影を追うつもりだ、もう帰ってこないんだ、いい加減に忘れろ。」

「それはっいくら父上の命でも、それだけは聞き入れられませんっ。例え貴方が姉上の事で俺を罵ろうとも、俺は信じた姉上を肯定し続けますっ!」


杏寿郎の曇りない瞳は一体誰に似たのものか・・・槇寿郎はため息を溢すと杏寿郎に背を向けて歩き出した。


「・・・そんな紐、持っていた所でAに会える事も無ければ、腹を満たす事も、酒を買う足しにもならん。」

「ーーーっ会えます!俺が必ず姉上を連れて帰って見せます!」


「・・・そこまで言うならば最後まで貫いて見せろ。生半可な気持ちなら今すぐ忘れろ。」


槇寿郎は一瞬足をとめるも、振り返る事なく自分の部屋に戻って行った。


「…姉上、今の俺は貴方の影を追う愚か者なのでしょうか。」


小さく弱音が溢れるも、杏寿郎は首を横に振って再び組紐を前にかざした。


「俺が弱気になってどうする!!気合いだ杏寿郎!気合いだー!!」


声を張りすぎたのか、槇寿郎が壁に瓶を投げ付ける音が響き杏寿郎は小さな声で再び気合を入れ直した。

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あまね(プロフ) - 続き気になる! (9月29日 0時) (レス) @page50 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーたん(プロフ) - meさん» いつも読んでくださりありがとうございますっ!!少しずつですが完結まで頑張っていこうと思います! (2020年10月22日 15時) (レス) id: 3f898f19d6 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - 右の星を押したら既に投票済みでした..いつも楽しく読ませてもらってます!続きもがんばってください! (2020年10月22日 12時) (レス) id: 47178bfabc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴーたん | 作成日時:2020年5月13日 14時

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