好き、やねん。 (ページ45)

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「うわー！海やん！すご！！」
『泳げんくせにはしゃぐな。』
「はしゃぐぐらい許せ、しかも今日泳ぎに来たわけちゃうし！！」

ふたりであーだこーだ言いながら海岸まで車を飛ばしあーだこーだ言いながら車から降りる。
最近はバケツとか使わずに片付けられる便利なものがあるらしく笑いの殿堂すぐ近くの激安の殿堂で手持ち花火と一緒に購入した。

「何からしよっかなー！」
『俺、この紫、やりたい。』
「じゃあ私これにするわ。」

お互い好きな色や種類の花火を手に取り火を付ける。
すると、お互いの花火がそれぞれパチパチ、シューッ、と違う音を出しながら光り始めた。

「うわっ、眩し、！？最近の花火ってこんな光るんや……」
『もう俺らもおっさんやからな。花火なんていつぶりや。』
「そやな〜〜中学生とかしてたんかな？笑」

正直、花火というより花火を誰かとしているという環境自体が楽しかったのでは？と古い記憶の中の私が言っていたが、案外そう言う訳でもなくしっかりと花火は楽しかった。
一緒にやってる人が楽しい奴なのはあるとは思うけれど。

ふたりとも最近の花火の成長ぶり(？)に驚きと楽しさを隠せず次々と花火に火をつけ年齢なんて忘れて、いっそのこと時間やふたりの関係や性別すらも忘れてはしゃぎ合った。

でも、ふたりがなんとなく、本当になんとなく。手をつけなかった花火があって。
その他の花火がどんどんと減って無くなっていく中、ひとりポツンと残るそいつは、＂線香花火＂だ。

いよいよ線香花火以外の全ての花火を無事楽しみ終わり写真なんかも撮っちゃったりして、夜も深まってきた頃だった。

『ちょっと、疲れたな、…』
「うん、確かに笑少し休憩する？」

今更汚れなんぞ気にしてない私たちはふたりで海を見るようにして砂浜に座り込んだ。

特に改めて話すことも無くて、波が行き来する音がふたりを包む。

「あ、そういや昔仲良くしてた同級生の結婚式にこの前行ってきてさ。みんなもうそんな歳なんやなって。」
『確かに、この年齢はゾロゾロと結婚してくよな。』
「そーやねん、流石に焦った方がいいかな？」
『別にええやろ、』

やはり声のトーンも表情もあまり変わらなくてどこか無愛想な彼。
でも、そんな彼の横をこんなにも居心地良いと思っている私も私だろう。