おまけ. ページ42
リ視点
追いかけるもの、と追いかけられるもの、が居る。
追いかけるものが追いかけられるものに追いついた時、全てがうまく行く。
追いかけるものが追いかけられるものに追いつかなかった時、そこで全てが終わる。
収録の休憩中、ロケバスの中。
自分の左側に座っていた相方が煙草を吸う為に席を外し、ふと体の左側がなんだか寒さを感じ出す。
携帯をいじっているとよくわからん連絡が届いていい加減整理しないとなと連絡欄を開いた。
最後に連絡した日付を見れば数ヶ月前、なんなら1年以上経つ人もいた。
大体が、一回や数回だけ夜を共に過ごして終わりの女の子たち。
その中で流れ作業のまま消そうとした連絡先の名前を見て、ふと指が止まる。
A、………、。
彼女は確か、昔中高生の時baseに通っていたお笑いが好きな女の子だった。
その後、関東の大学に進学したからあんまり触れてこなかったけど今もテレビはよく見てるよ、と。
正直、今俺に寄ってくるファンの子で俺のbase時代を知ってくれてる子なんて殆ど、いやおらん気がする。
「私、アフロのリリーくんしか知らなかったからびっくりしちゃった笑 めちゃくちゃかっこよくなったね。」
そう言う彼女はたまたま俺のことをテレビで見つけて連絡してきてくれたらしい。
せっかくなら、違う出会い方をしたかったなんて思ってしまうのはこれ以上無い我儘だろう。
普段、ファンの子に追っかけられてばっかな俺が、追いかけたくなった、女の子。
こんな関係持たなかったら、今も追いかけることが出来ていたのだろうか。
実際、追いかけたくなって、追いかけた。
でも、追いつけるはずが無かった。
どれだけ追いかけても、立ち止まってくれることはなく、その手を掴めず逃した。
立ち止まってくれない理由は、俺が一番わかっている。最低でしか無い。
悲しいと思っている俺の何倍も彼女は悲しんでいる。
『…………濱家さん、』
濱「ん？」
右隣に腰掛ける長身の男に声をかけてみる。
『自分の昔の行動が仇となったこと、あります？』
濱「……そんなんいっぱいあるわ。」
見ていたスマホから視線を上げてそう言ってくださった先輩は、なんだか格好良くて。
いつか、先輩みたいに誰かひとりを愛せる日が来るのかと未来の自分に問いかけた。
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ハッピーエンドだらけになってたのでたまには……と！
私はこういうお話も好きです👍🏻
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作者名：かどき | 作成日時：2024年1月22日 18時
