好き、やねん。 (ページ38)

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一兎も得ず終い。M.ll ページ38

29期×一般人

女って、生き物が私は好きじゃない。
私も女だけど。だからこそ。

顔が良かったら、その上性格まで良かったらその先の人生何かと安泰らしい。貰ってくれる男はいくらでもいるから。あんまよく知らないけど。

だって、私は性格が良くないし。

だけど顔は多分整ってる方らしくて小さい頃は周りからチヤホヤされて育ってきた。
勘の良いガキだった私は顔が可愛いから甘やかされてることぐらいすぐに理解した。

ね、性格だけは可愛げが無いんだよ。

そんなこととっくの昔に気づいて、今はもう良い歳した大人になったってのに何故か最近「かわいい」と言われることがある。

女の子はみんなかわいいよ、って。
この世にはよくわからんことを言う人もいるもんだ。
その＂よくわからんことを言う人＂が私の好きな人であることは私の中の大誤算かつ人生最大の誤りと言っていいだろう。

将企22時、いつものホテルで。

ㅤㅤㅤㅤㅤあ、ごめん。やっぱ俺の家。

わかった、と返す気も失せるやり取りにため息を吐いて最後の彼からのメッセージにグッドボタンだけを押しておく。
何処の誰と間違えてるか知んないけど、そんなこと聞くほど私だって暇じゃ無い。

あれから残業を終え、会社を出て適当に匂いの付かなさそうな小洒落た店に入り軽く食を嗜んだ。
あの人自炊なんてしないから家に何も無いのは知ってる。
これまでは食材買って行ってご飯作ってたけど、そんな時間もう無いから。

なんとなく繁華街をフラフラして色んなお店を見てたまにホストのキャッチに捕まって。
気づいたら21:30を回っていたので彼の家に向かう。
もうすぐそこ、という辺りまで来たところで時計を確認すると21:53。
基本5〜10分前に行動していたい私が早く来られすぎるのが嫌な彼に合わせた結果の時刻。
いっそのこと、遅れてやろうかななんて魔が差しちゃって変に遠回りしてみた。

将企ㅤㅤㅤㅤㅤまだ?どこおるん?

22:10。10分遅れで揺れた私の携帯。
そろそろ行くかなぁ。

ㅤㅤㅤㅤㅤごめん、絡まれてた。もう着く。

「笑」って打つ時大体実際は笑っていないのと一緒で。なんも申し訳ない気持ちは無いけれど一応謝罪の言葉を述べといてあげた。
見慣れた通りを歩いてマンションに向かっているとマンションの前に、人影が見えて驚く。