好き、やねん。 (ページ35)

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『「ご馳走様でした〜。」』

『あざす。』
「今度は阪本に何奢ってもらおかな〜〜なんつって。私今テンション高いから気にせんとって笑」

なんでなん？

って、聞きたいけどそんな勇気はまだ無い。
Aのテンションが高い理由なんて、まだ俺にとっては知らなくて良いことやから。

「……っはー、あったかいな。」
『な。こんな上着羽織ってこんでよかったわ。失敗した。暑い。』

「脱いだら？」
『荷物なるしええわ。』

「………ほな、ジャン負けやな。」
『……そうくる？』
「こんな中学生みたいなノリやれんの阪本ぐらいしかおらんからなぁ。やる？やらん？」
『やるしかないやろ。』

＂最っ初はグー！！ジャンケン…………＂

　

「🖐🏻」

『✌🏻』

『はいーー！！！っしゃあ！！有難う！！！』
「あーだるいだるいだるい！！！おいお前決まった瞬間上着脱ぐスピード速すぎやろ」
『うっわ〜〜！！軽っ！！！涼しっ！！！』
「うるっさいねんほんま……。」

『やっふ〜〜〜！！！！』

「あ、ちょ………待てよ！！！」

身軽にも涼しくもなれた俺はウキウキで駆け出した。風が俺の前髪を靡かせている。

はず。

あれ、？

なんか、…手のひらと膝、むっちゃ……。

『いっっっっっったぁ…………！！！！！』

思わずそのまま地面にへたり込む。

後ろをふと振り返るとそこには意味わからん場所にある意味わからん段差が。

え、？？俺もしかしてこんなちっちゃい意味わからん段差に引っかかってこけたん、？

え、しんどいしんどすぎる。意味わからん。最悪最悪さいあく……最悪すぎる。
はぁ？ヤバすぎるやろ俺。なんちゅうことしてくれてんねん好きな奴の目の前で！！！

もう一度振り返ると俺のアウターを腕に抱えたままぽかんと立ち尽くすAの姿。

そらそうや、そうなるに決まってる……。