好き、やねん。 (ページ33)

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温まったのは体と、 M.skmt ページ33

33期×同期(前回続き)

「ごしょまる〜〜〜」

楽屋のソファーで携帯をいじっていると午前の出番を終えた同期が衣装を軽く着替えて楽屋に入ってくるなり誰かを呼んでいる。

きっと、俺では無い。
何故なら俺はそんな名前じゃないしコイツにそんな呼ばれ方したことない。

なのに何故かもう一度呼んだ。
俺の目を見て。こっちに歩いてきながら。

「ごしょまる〜ー？」

『…………違います、』

基本悪ふざけとか悪ノリ的なものってオフモードの時するの嫌いなんやけど。
名前を呼んで欲しい、その一心で少し意地悪に返答した。ごめんという意味となんで呼んでくれへんねんという思いを込めて立っているAを睨みながら。

「…………はいはいわかりました。

……匠伍？」

え、今なんて、………。

『なんて、？……ちゃんと聞こえんかった、』

「はぁ？しょーうーごー！！阪本匠伍！！！」

ほんまに、？Aが俺のこと名前で呼んだん？今。
ちょっと、…ヤバすぎるやろ、。

『………な、なに。……………A。』

顔に熱が集まるのを感じて目を逸らし上げていた顔を伏せる。仕返しのつもりで名前呼んだけど声小さすぎやろ自分、これAに聞こえてへんて。

「お昼もう食べた？」
『まだ。』
「あ、マジ？どっか行こ。」
『……おん、。』

もう何も気にしていなさそうに話を進める同期の前でひとりさっきのことが頭から離れずにしどろもどろになってしまう。

「この前誘ってくれたのに行けへんかったやん？やから今日は私が出したろかな〜ーって。…………ごめん嘘この前ほんま申し訳無かったし。」

この前、？
………あぁ、確か、。

『いや、別にそれは全然大丈夫やけど。』

ほんまにそれは全然大丈夫やけど、今は他のことが全然大丈夫じゃないって。
なんなん、それ。今ここに居たのがもし中谷やったら平気で祐太って呼んでるん？

「なにぼーっとしてんの。早よ行こや。」

いつの間にか準備を終えていたAにツッコミを入れられてハッとする。

アウターを羽織って鞄を持ち、Aの後を追った。