好き、やねん。 (ページ30)

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作家にも、ベテランとか新人とかがあるらしくて。あんまわかってないけど。

あの時、初めて出会った時はマユリカのラジオを主に担当する新人さんとして入って来てたらしい。
その後ラジオだけじゃなくマユリカの単独とかその他の活動も一緒に動くようになった。
と聞いた。阪本から。

でも、作家さんってこの人だけに、って事もなくてそれこそベテランな人は色んな芸人さんを担当されてる事が多い。
気づけばマユリカを見ていたAさんも劇場に現れちょこちょこ俺らにも関わってくださるようになった。でも一気にはしんどいかなってことで今は少しだけYouTubeの面でお世話になっている。

はずなんやけどなぁ。
お世話になっているという事は、助かっているというわけで。
でも、俺にとっては実は助かっていない。

それは、…………。

阪「……さん、堂前さん。聞こえてます？」
『……ごめん聞こえてない。なんやった？』

考え事をしていたせいで後輩から声をかけられていることに気づかなかった。
今日は一段と髭の濃い気がする後輩が眉間に皺を寄せながらため息を吐いた。

阪「やから、Aさんがまた今度YouTubeお手伝いしに行きますねって言ってたんです、」
『……ほんまに、？えー嬉しいわ〜。……んで、阪本は？なんでそないな顔してるん笑』

用件は伝え終わった筈なのに話している後輩は未だに眉間から皺が取れてない。
内心はAさんが来てくださることにテンションが上がりまくりだがそんなことが阪本にバレたらめんどくさすぎる。ここは申し訳ないが阪本に集中砲火させてもらおう。

阪「いや、堂前さんわかってるでしょ。最近Aさんおふたりに付いてること多すぎてまたマユリカチームおっさんだらけなって来てるんですって。ただでさえ汚い奴らのコンビやのに。」

愚痴を溢す阪本の気持ちは痛いほどわかる。
何故、わかるのか。
そして何故、Aさんが手伝ってくださることが俺にとって助かってないのか。

答えはきっとなんとも単純、俺はAさんのことが好きだから、だと思う。