好き、やねん。 (ページ25)

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cigerkiss,and……S.niym ページ25

34期×同期

「ごめん、お待たせ〜。」
『お、おかえり。もう支払いしといたし。』
「えぇ！何そのイケメンムーブ！！いやいやそうやなくてそんなん悪いよ、同期なんやし。」

そう言って財布に手を伸ばす俺の、同期。
＂同期＂でありながら、＂絶対に手の届かない人＂でありながら、＂とにかくずるい女＂。

『ええって、別に。俺から誘ったんやし。』
「んえーー、、」
『ほな、Aがええんやったらまた今度なんか奢ってや。今日も楽しかったし。』

そう言うと渋々納得してくれたのか財布を再度鞄に戻した。
そのままふたりで店の外に出る。
乾いた風が顔に当たって痛みすらも感じる冷たさをしていた。

「うわっ、さぶ。……にーやん、今日はありがとうな。」
『こちらこそやそんなん。……めちゃくちゃ久しぶりやし、嬉しかった。』
「んはは、またまたそんなこと言うて笑やっぱにーやんとおると酒進んで困るわ〜」

横を歩く背の小さい同期に、俺は真剣に、真っ直ぐ目を見て伝える。嘘偽りのない本心を常に彼女には曝け出すのだが、彼女は決まってへらりと笑いながらかわしてみせる。
そういうところが、ずるい女。

そんなAには、彼氏がいる。
なので普段、ふたりでご飯に行ける日なんて滅多に無くて。今日もダメ元で誘ってみたところ何故か快くOKしてくれたので気の変わらないうちにそのまま居酒屋へ流れ込んだ。
もう一度言うが、彼氏がいる。なのに俺と居るとどうとかってすぐ口に出す。
やっぱり、ずるい。
そして、手の届かない存在。

『ほなコンビニ寄ろ。水買うから。』
「わーんスパダリ〜〜〜涙」

またそうやって俺を勘違いさせてくる彼女の腕を引っ張って近くのコンビニに入った。
適当に水やらAの為のヘパリーゼやらを持ってレジへ向かうとAが財布を取り出して小銭を漁った。

「さっきのお礼で〜す、タバコ買いな？」
『ええの？ありがとう。あ、すんません34番1つ。』

「……ごめんなさい、小銭無かったです」

あんな漁ってたのに無かったんかい、と言おうとしたが俺のタバコが計算狂わせたんやろなと思いお札を出すAを何も言わずに見ていた。

店員「232円のお釣りです。」
「ありがとうございまーす。…………、？」

ん、？なんや、今の。