. ページ21
辻side
今日は劇場出番が終わり次第帰れる日。収録系の仕事もなんも入ってないし有難いことにご飯誘ってくれる人とか居てるかもしれんけど今日だけは、付き合えない。
だって、今日、俺は──────。
無事出番を終えた俺はなるべく早く家に帰ってきた。早く帰ってきたはいいものの、何して待っといたらいいんやろ。
ほんでこういう時ってどんな格好しとくんが正解なん？どうやって待っとくんが正解？わからへん。なんも。ただただ焦ってひとりでリビングをうろちょろしてる。
やばい、今、俺めっちゃ格好悪いかも。
静かな部屋に時計の針が時を刻む音だけがやけに響いてうるさい。いや、それよりも自分の心臓の方がやけにうるさいかもしれん。
まだかな、A。
まだかどうか聞いてみようかなと思ったけど頑張って仕事してる時にそれは悪いかなって思ってやめた。あー、めっちゃ緊張するやん。
ガチャ。
「 」
「………皓平？」
『……ああ、A…帰ってきてたん？ごめん、気づかんくて…』
「大丈夫やけど…なんかあった？」
やばい、やらかした。Aが帰ってきたこと全然気づかへんかった。どうしよう。このまま言うべき？こんな突然に？
『いや………その、』
『…………ごめん、やっぱ、なんもない。』
ちょ、そんな、顔、見んといてや……。言われへんって。
いや、でもあかん。今日言うって決めたから、
『……A、もう、この関係、やめへん、？』
言って、しまった………。
しばらくなんの反応も無くて恐る恐るAの方を向くと、何故かAは肩を震わせていた。
え、泣いてんの………？
「私が今日、帰る時連絡入れへんかったからやんな、？」
『………え、？』
「今日なんも送らんかったから、諦めついた？
ごめん、こんな彼女で、。私、いっつも皓平に辛い思いさせてばっかりやったよな…」
『ちょ、A、？？な、泣いてんの、！？ど、どゆこと、ちゃうて、え、？
……と、とりあえず落ち着いて？な？』
どゆこと？なんでAが泣いてるん？
わからへんけど、俺のせいや。それだけはわかる。どうすんのが正解かわからんくてとりあえずAを抱きしめる。キモかったら、ごめんな。
「こうへ、あかんって、そんなんしたら、………。もう私、皓平の恋人でもなんでもないんやから、やめてよ……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 210人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かどき | 作成日時：2024年1月22日 18時
