好き、やねん。 (ページ15)

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ー翌朝ー

妹「……ちゃん！お兄ちゃん！！学校遅れるよ！？」
『……ん、？ああ、……』

最悪や。寝坊した。そして妹に起こされる始末。
手探りで携帯を探し電源を付けて寝起きの目が完全に開く。
やらかした………電車、間に合わん、。
せめて1本遅れの電車に乗らんと遅刻してまう。

数億年ぶりに駅まで走ってなんとか1本遅い電車に乗り込んだ。サッカー部にランメニューがあることを初めて心から感謝した。
そのまま空いている席に座ろうとしてハッとする。
この席、いつも乗っとったなあ。俺。

……いや、俺はもうここには座らん。座ったら、ダメな気がする。
俺はもう、あの子に恋する権利なんかないんや。
このまま席に腰掛けたい気持ちをこれでもかと抑えてひとつ車両を移動した。

"次は、○○、○○です。"

感情のこもっていないアナウンスにふと手元のスマホから目線を外してしまった。
無意識に反応してまうなんて、全然諦めきれとらん。そんな自分が情けなく思いながらももう一度、あの子の姿が見たくてたまらんかった。
これ以上、あの子を好きになってもなんの意味もない。自分も、あの子も苦しめるだけ。そうわかっていても自分の足は止められなくて気付けばもう一度車両を移動していた。

Aside

今日も、会えないんだろうな。
友達に相談したあの日からも、一切彼の姿を見ていない。
私、なんかしちゃったのかな。
嫌いになりそうなホームで電車を待つ。
浮かない顔したサラリーマンと学生。私も今浮かない顔してるんだろうな。

スピードを落としながら私の目の前に止まる電車。
腹立つほど時間を守ってやってくる電車に渋々今日も乗り込んだ。
私はきっと、夢見る少女なんだろう。彼と会えなくなってからも乗る車両は変えてない。

でも、それが、今日。
初めて功を奏したらしい。

なんで、？なんで？なんでなの？
なんで、いるの、？
名前は？通ってる学校は？連絡先は？どうして急にこの電車に乗らなくなったの？なのにどうして今日は乗ってるの？

聞きたいことはいっぱいあった。ありすぎた。
なのに、私は口を全く動かせなかった。
だって、彼の方から離れていったくせに、彼の視線が私を捉えて逃してくれなかったから。