好き、やねん。 (ページ14)

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Aside

友「………A！！……ねえ、Aってば！」
「…ああっ、ご、ごめん…な、なんかあった？」
友「いやあったけど！それよりもAが変やからどーでもいいわ！そっちこそ何があったん？」
「い、いや特になんもないけど…？」
友「なんもないわけないやん……親友はそんな簡単に騙せへん！」
「うう、……いや、それがさあ……」

最近、何故か会われへんねん。
私、いつもと同じ時間の電車に同じ車両に同じドアから乗り込んでんのに。
前までずっと彼が座ってた席は、空いたまんま。
最初はどうしようかと思ったけど、そういえば私ってあの人のこと、なんも知らんかった。名前も知らんし、何処の学校かも知らん。
やけど、、何故か無性に会いたくて。
もう一度声が聞きたい。お話したい。
いや、そんな我儘は言わない。彼の姿を見るだけでいい、から……。

リリーside

佐「突然…呼び出して、ごめん。」
『全然大丈夫やけど…俺になんかあった？』
佐「えっと……私、清水くんのことがずっと前から気になってて…。も、もし良かったら付き合ってほしい、です…！」
『あー、…………』

＂いいよ。＂
少し前までの自分なら、きっとすぐにそう答えていただろう。
顔を紅く染めて下を向きながら手を差し出す彼女は、隣のクラスの佐藤さんだ。小さく華奢な体に雪のように真っ白で透き通った肌、可憐に揺れるポニーテール。男が皆揃って言う、「かわいい」って。
まーでも、ここはいっちょモリシに頑張ってもらわんと、やな。

『…ありがとう。気持ちは、嬉しいんやけど、俺、他に好きな子おって。』
佐「……そ、そうなんだ、！こ、こちらこそ急にごめんね、！」

あー、ええ子で助かったわ。
ワンチャンこんな可愛くて素敵な子モリシには勿体無いぐらいやな〜。

『きっと、俺なんかよりもっと君のこと大事にしてくれるやつおると思うから。』
佐「そ、そうかな…？」
『おん。もっと一途に愛してくれそうなやつがな。…あ、でも、佐藤さんのこと嫌いちゃうからまた話しかけて？』
佐「…う、うんっ、！ありがとう…！」

きらきらと目を輝かせてそう言った彼女は小走りで去っていった。ポニーテールと共にスカートが揺れる。

今の返事でわかるように、俺は電車の時間を変えると言って変えたものの、やっぱりあの子を諦めきれていない。
リュックのチャックを閉めるだけなのに、顔を耳まで紅く染めていたあの子のことが嫌と言うほど忘れられなかった。