- 10 ページ11
.
『お待たせいたしました
当店特製ロイヤルミルクティーです』
「わー美味そうっすね!」
そう言って一口飲んだ健ちゃん
「めっちゃ美味いんすけど!!
なんか地元を思い出す味やなあ。」
彼が言ってることは合ってる
京都にいた頃よく飲ませてたもんなあ
『これ新しく作ってみたんやけど飲んでみて!!』
「えーまたかよー
Aはほんま紅茶好きやなあ(笑)」
文句言いつつも美味しそうに飲み干して
「これ香り残っててええなあ!」
とか
「この牛乳の量がベストやと思う!」
って一生懸命感想言ってくれたお陰もあり
今現在最高傑作だ!って思えるロイヤルミルクティーが出来たんだよね
こうやってまた飲んでもらえるのが他人としてだとは考えてもいなかったけど
美味いって言ってくれたのは素直に嬉しい
.
.
.
ねえ健ちゃん
今健ちゃんはどんな気持ちでこの店にいるん?
いっそこのまま他人のフリなんかやめて
『Aだよ、』
って言えたらどんなに幸せなんやろうか
『健ちゃんの事まだ忘れてないよ、』
って伝えたら迷惑やろうか
自分で決めた事なのに
どれだけ後悔してるのか
その大きさにようやく気づく
それもこれも
貴方を近くに感じてしまったせいやよ
もう後戻り出来ひんかもしれない
.
.
「俺このミルクティー気に入りましたわ!
近々また来ます、では!」
彼はそう残して店を出てった
私があの "A" なのか、今回は聞いてこなかった
.
74人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紗弥 | 作成日時:2017年12月6日 0時