58 気持ち - Sho - ページ8
*
【 Sho 】
「今日な、もうCLOSE掛かってたやろ？」
『………うん。』
甘い雰囲気から一転
無機質な言葉を続けた俺に
Aちゃんは少し戸惑ったような顔をした。
「お客さんもおらんかったし、早めに閉めてカクテル作ってた。
そんで、やっとできた。」
そう。今日。やっと。
『ナナセさんの………？』
不安そうに眉を下げてみせる彼女は
まだ俺の言葉を100%では信じてくれてへんのかな。
あんなに泣かせたんやから、それも俺のせい。
「来て」
Aちゃんの手を引いて
カウンターの端の席に座らせた。
珍しく、鼓動が速くなる。
Aちゃんは、受け入れてくれるんやろうか。
カウンターに背を向けている間
ただの自惚れなのかもしれんけど
彼女の視線が背中に刺さるみたいに感じて
ますます鼓動が速くなっていく。
「………はい」
Aちゃんの目の前にグラスを置く。
多分、その色を見ての反応なんやろうな。
彼女は目を丸くして驚いた。
『………真っ赤。』
「うん。」
『トマトジュースみたい』
「んなわけないやろ(笑)」
『だね？』
クスッと笑うAちゃんは、左側の髪の毛を耳にかけて
その揺れるピアスに視線を盗られた。
『飲んでもいいの？』
「………Aちゃんが嫌やなかったら」
『嫌じゃないよ。………大丈夫。
これが、紫耀くんのナナセさんへの気持ちなんだよね。』
憂いのある瞳でグラスに視線を注ぐAちゃんは
ものすごく綺麗だった。
「これでナナセのこと、ほんまに最後にしようって思って作った」
『うん。』
だけど
だけど
真っ赤な色に馳せた、燃えるような想いは＿＿＿＿＿
「いただきます」
それは小さな声なのに
何故か店内に反響して聞こえた。
*
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蘭(プロフ) - ものすごく面白かったです！！勇太が自分から悪役になって主人公の女の子を送り出すのが本当に泣けました！ (2019年8月25日 4時) (
レス) id: f0c1e98991 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - めっちゃ泣いちゃいました！おもしろかったです(^-^) (2018年5月31日 8時) (レス) id: a62c72f2bc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぴ - いろいろ感動しました。すごく、おとなぽっくてかっこいい作品でした。 (2017年8月24日 12時) (レス) id: 1413602191 (このIDを非表示/違反報告)
樹里亜(プロフ) - とっても大好きな作品でした。私好みすぎて… これからも頑張ってください！ (2017年7月12日 0時) (レス) id: cc2f6a9c78 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - CHI-NAKAさん» メインではない登場人物の性格や言動もこだわって書いているのでそう言っていただけるとすごく嬉しいです！ありがとうございます(>_<)！！！ (2017年6月25日 23時) (レス) id: 6707e6f3bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨音
| 作成日時：2017年4月15日 20時
