78 依存 ページ29
*
「ねぇ、」
勇太「………ん？」
「ありがとう」
勇太は何も聞かず
柔らかなベッドの上で、私を包みこんでくれる。
勇太「ほらもう、寝な？」
手を引かれたまま
私はしばらくぶりに勇太の家に足を踏み入れて
彼はただずっと、私を抱きしめてくれていた。
同じベッドを共有して
ただ抱きしめられるだけなんて、初めてのことだった。
.
" どれだけ傷ついたとしても、そばにいたいと思ったの。"
やっぱりそんなの、私には無理みたいだよ。
嘘ばっかりな自分。
傷ついてしまったら、私は逃げたくなるんだ。
私は、強くないから。
＿＿＿＿＿だから、縋ってしまうんだ。
「私、また逃げたの」
勇太「うん」
「変わらない。弱いままなの」
背中を優しく叩くその手つきに
また涙が出そうになる。
今、優しくされるのはものすごく脆いよ。
勇太「俺はAが大事だから。
……………だから、苦しかったら逃げてほしい」
重さを持って心に落ちてくる言葉。
＿＿＿ 久しぶりに、また彼の魔法にかかったみたい。
もっともっと弱くなるよ
だけど縋りたい
それも私の究極の弱さ
勇太「壊れないで。
……………自分が壊れる前に逃げて。
逃げる先は、俺のとこじゃなくてもいいから。」
ねぇ、
私はどうして
貴方を好きになれなかったんだろう。
こんな今でさえ
私の苦しい感情を支配する全ては紫耀くんで
こんなにも、好きなんだ。
魔法をかけてくれる
弱さを隠してくれる
そんな彼のそばにいられたら
そんな彼を好きになることができたら
私は幸せだったのかな。
「紫耀くんのこと、好きになりたくなかったよ………」
言いたくないよ、こんなこと。
だけどはちきれそうなほど苦しい心は
この言葉を吐き出さないともうダメになってしまいそうだった。
勇太「……………そんなこと言うな」
掠れた声は少しだけ震えていて
だけど顔を上げると、勇太は笑っていた。
*
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蘭(プロフ) - ものすごく面白かったです！！勇太が自分から悪役になって主人公の女の子を送り出すのが本当に泣けました！ (2019年8月25日 4時) (
レス) id: f0c1e98991 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - めっちゃ泣いちゃいました！おもしろかったです(^-^) (2018年5月31日 8時) (レス) id: a62c72f2bc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぴ - いろいろ感動しました。すごく、おとなぽっくてかっこいい作品でした。 (2017年8月24日 12時) (レス) id: 1413602191 (このIDを非表示/違反報告)
樹里亜(プロフ) - とっても大好きな作品でした。私好みすぎて… これからも頑張ってください！ (2017年7月12日 0時) (レス) id: cc2f6a9c78 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - CHI-NAKAさん» メインではない登場人物の性格や言動もこだわって書いているのでそう言っていただけるとすごく嬉しいです！ありがとうございます(>_<)！！！ (2017年6月25日 23時) (レス) id: 6707e6f3bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨音
| 作成日時：2017年4月15日 20時
