71 秘めたもの - Genki ページ22
*
【 Genki 】
『やぁぁっ……！』
彼女の悲鳴。
こんなにも
好きで
欲しくて
だけど
キミは手に入らない。
『………なん、で………こんなことっ』
「好きだからだよ」
「………なんで紫耀なの？」
「俺じゃ駄目なの？」
「紫耀なんかより、俺の方がナナセちゃんのこと好きだよ」
絶望に満ちた瞳。
ブラウスを強引にこじ開けると
糸の切れたボタンがぷつりと、どこかへ飛んでいった。
＿＿＿＿＿
＿＿＿
体を持ち上げられそうなほど強く胸ぐらを掴まれて
息が苦しい。
紫耀「ふざけんな」
「……………ごめん」
ごめん
ごめん
ごめんなさい
頭の中を支配する感情に
胸が苦しくてたまらない。
あの日のナナセの声も、泣き顔も
無理矢理奪った唇の柔らかさも、白くて綺麗な肌も
鮮明に蘇っていた。
「ずっと好きだった。
紫耀とナナセちゃんが付き合う前から、ずっと………」
紫耀「そんなん理由になると思っとるん？」
見たこともないくらい冷たい目で俺を見た。
でも紫耀の言ってることはあまりにも正論で
俺のしたことは最低で
でも
「おまえに俺の気持ち分かるわけないじゃん」
そうでしょ？
ナナセちゃんを手に入れて
ナナセちゃんに愛されて
そんなふうに生きてきた紫耀に
俺の気持ちなんて分かるわけない。
俺の最低な言葉に、紫耀は何故か反応しなくて
代わりに俺の体を解放した。
紫耀「何があったとしても
ナナセが最期に会ったんは俺やなくておまえや。
だからあの日のこと、俺は知りたい。
……………話してや」
息を飲んだ。
俺への怒りよりも
知らないナナセちゃんを知りたがる紫耀に。
俺なんかナナセちゃんを手に入れられなくて当たり前だよ
そんなことすら思ったんだ。
紫耀はカウンターの後ろに回って
いつもより乱暴な手つきでショットグラスを手に取ると
その中にテキーラを注いだ。
ガタン
その時
入り口扉の向こうから微かな物音がした。気がした。
.
「話す。……………話すよ」
ポケットの中から
あの手紙を取り出した。
ずっと、宛てられた人には読まれることのなかった手紙を。
紫耀「何？これ……………」
それを手に取った紫耀は
目を見開いて驚いていた。
" 紫耀へ"
*
72 瞬間 - Sho -→←70 知らないキミが消える - Sho -
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蘭(プロフ) - ものすごく面白かったです！！勇太が自分から悪役になって主人公の女の子を送り出すのが本当に泣けました！ (2019年8月25日 4時) (
レス) id: f0c1e98991 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - めっちゃ泣いちゃいました！おもしろかったです(^-^) (2018年5月31日 8時) (レス) id: a62c72f2bc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぴ - いろいろ感動しました。すごく、おとなぽっくてかっこいい作品でした。 (2017年8月24日 12時) (レス) id: 1413602191 (このIDを非表示/違反報告)
樹里亜(プロフ) - とっても大好きな作品でした。私好みすぎて… これからも頑張ってください！ (2017年7月12日 0時) (レス) id: cc2f6a9c78 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - CHI-NAKAさん» メインではない登場人物の性格や言動もこだわって書いているのでそう言っていただけるとすごく嬉しいです！ありがとうございます(>_<)！！！ (2017年6月25日 23時) (レス) id: 6707e6f3bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨音
| 作成日時：2017年4月15日 20時
