69 隠された扉 - Sho - ページ20
*
【 Sho 】
玄樹「………よかった」
開店前の夕方、
Aちゃんとのことを話すと
自分のことみたいに、ホッとした顔で表情を和らげて、玄樹はそう言ってくれた。
「なんか、迷惑かけてごめん。」
玄樹「俺は全然。
………ていうか、それ言うためだけに来たの？(笑)」
「大事なことやんか」
少しふざけた玄樹に対して
やけにムキになってしまう自分が恥ずかしく思えた。
玄樹「………Aちゃんのこと、本当に大事なんだね」
「………ん。」
玄樹「よかった。………よかったよ」
グラスを拭きながら
玄樹は何度もそう呟いてくれた。
「＿＿＿＿＿ ナナセは、どう思うかな」
玄樹は俺の方をじっと見てから、瞳を揺らした。
何かを抑えるように、唇をぎゅっと噛み締めて。
「ナナセも、" よかったね " って言うてくれるよな？
ずっとナナセのそばにおるって、
あいつのこと忘れんって言い続けてきたけど
ほんまはナナセが、もう嫌がってたりしてな(笑)
俺のこと、嫌いになってたりして………」
玄樹「それはないよ」
迷いのない声が、天井に反響した。
そして気づく。
此の期に及んで逃げ道を作ろうとする自分の愚かさ。
そうしてしまえば、
そう思い込んでしまえば、
俺が一番にラクになれるから。
笑えるくらい、情けない。
.
玄樹「紫耀は、ナナセちゃんのこと分かってない」
.
「………は？」
さすがに、黙って聞いていられるようなことやなかった。
「じゃあお前は、ナナセの何を知ってるん？」
玄樹「紫耀の知らないナナセちゃん。俺は知ってるよ」
少し迷いを含んだようなその表情に、胸がざわつく。
俺の知らんナナセのことを
玄樹は知っとるっていうん？
……………どうして。
玄樹「……………ごめん、紫耀」
「なんで、謝るん」
.
玄樹「ずっと、紫耀に隠してたことがある」
.
明らかに鼓動が速まって
だけど俺には
それを聞く義務があるような気がした。
*
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蘭(プロフ) - ものすごく面白かったです！！勇太が自分から悪役になって主人公の女の子を送り出すのが本当に泣けました！ (2019年8月25日 4時) (
レス) id: f0c1e98991 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - めっちゃ泣いちゃいました！おもしろかったです(^-^) (2018年5月31日 8時) (レス) id: a62c72f2bc (このIDを非表示/違反報告)
ゆぴ - いろいろ感動しました。すごく、おとなぽっくてかっこいい作品でした。 (2017年8月24日 12時) (レス) id: 1413602191 (このIDを非表示/違反報告)
樹里亜(プロフ) - とっても大好きな作品でした。私好みすぎて… これからも頑張ってください！ (2017年7月12日 0時) (レス) id: cc2f6a9c78 (このIDを非表示/違反報告)
雨音(プロフ) - CHI-NAKAさん» メインではない登場人物の性格や言動もこだわって書いているのでそう言っていただけるとすごく嬉しいです！ありがとうございます(>_<)！！！ (2017年6月25日 23時) (レス) id: 6707e6f3bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雨音
| 作成日時：2017年4月15日 20時
