シェアハウス物語 part3

●ひと休み　和side ページ37

あまり知られてないけど、俺の腰だけじゃなくて、嵐にはもう１つ爆弾がある。


　

大野さんの膝。

　
昔はサポーターしてコンサート出たりしてたけど、最近は無しでも平気！って笑顔で言っていた。

　


でもどうやらやっちまったみたいだ。


　
ソファーで力尽きたように眠る大野さんの汗を拭きとって、起こさないように潤くんが車に運び込んだ。

　

病院で痛み止めを処方してもらって、１週間は安静にするように言われた。

　
無理に動けば動く程悪化するらしい。




　
ずっと付けていたアイシングを外すと、見ただけではそこまで腫れてる様子も無いし、痛むようには見えない。

　

でも実は深刻な状態で。


　
　
智「んっ…っっ…はぁっ、」

　

これ程までに痛みに声を漏らす大野さんはみたこと無くて、俺は泣きそうになるのを堪えながら頭を撫でていた。

　


潤「和、リーダーどう？」

　
和「うん…痛そう…汗もかいてるし呻いてるし。」

　
潤「安静は説得しないとだな、きっと。」

　
和「そうだね。この人、大丈夫だって言い張って絶対無理する。」

　




　
潤くんとそんな話をして数十分後。

　

メンバーが大野さんの部屋に集まった時に大野さんは目を覚ました。

　

いつの間にか自宅に帰ってきてベッドに寝かされてる事に驚いてたけど、状況を理解した途端に「大丈夫」「俺大丈夫だから、」ってパニックを起こしたように繰り返しながら身体を起こそうとする。

　

翔「いいから智くん、大人しくしてて？」

　
智「でもっ、大丈夫、平気っ、平気だからっ…俺、コンサート、出るのっ…」

　
和「だぁいじょぶ。コンサートは出れるから。その為に今は安静にしてようよ。」

　
智「っ…コンサート、出たいっ…」

　
和「うん。大野さんの気持ちはみんなちゃんと分かってる。だから泣かないで？」



　
目から流れ落ちた一筋の涙が、大野さんの気持ちの大きさを表してる気がした。

　
親指の腹で涙を拭ってあげると、少し落ち着いてきたのか布団を鼻まで引き上げた大野さん。

　


まだ目は涙で潤んでいる。

　



雅「リーダー、１人で抱え込まないでね？みんないくらでもサポートするから。」
　

翔「痛み止めも貰ってるから、我慢しないで言ってね？」


潤「大丈夫だって。俺ら４人いるんだから。」


　

口々に声をかけられて、少し恥ずかしそうだったけど小さく笑ってくれた。

　


　

ひと休みして、みんなで一緒にコンサート出ようね、大野さん。

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