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チーノくんがリビングから出て行くと、しばらくするとチーノくんの次はショッピくんが遠慮がちにリビングにやってきた。
shp「Aさん、ここに居たんですね」
「ショッピくん、髪乾かしてあげるよ」
ドライヤーを構えながら私はショッピくんに手招きしながら声を掛けると、ショッピくんは私の前に躊躇いもなく座った。
先程の遠慮がちにリビングにやって来たショッピくんとは大違いだ。
shp「Aさん、お願いします」
「うん、任せて」
ショッピくんの髪は、相変わらずふわふわで羨ましい限りだ。
shp「Aさん、もしかしてお酒飲みました…?」
「ごめん、もしかしてお酒臭かった?」
「いや別にそう言うわけじゃ無いですけど…。Aさん、机の上にビール缶置きっぱなしですもん」とショッピくんが答えた。
ショッピくんの髪を乾かし終えたら、ビール缶をこっそり捨てよう。
shp「Aさん、明日で最後ですね」
「ショッピくんがいなくなるの、寂しくなるなぁ」
shp「俺は猫の代わりですからね」
「ショッピくんは猫じゃなくて弟かな」
ショッピくんとの出会いはかなり衝撃的だった。
公園で猫に囲まれて寝ていて、それにショッピくんの『猫の代わりに俺を飼ってみませんか?』発言は正直驚いた。
いつも仕事でボロボロな私を心配してくれていたショッピくん。
熱を出した私に気付いて、率先して看病してくれたのもショッピくんだ。
今では私にとってショッピくんは大切な弟的存在だ。
ショッピくんがしっかりしすぎているので、姉としての立場は全く無いけれど…。
そして、どんな時もショッピくんの指摘は私を的確に突いてくる。
shp「Aさん、コネシマさんに本当に言わないんですか?」
「うん。これはずっと決めていた事だから…コネシマさんには言わないよ」
shp「Aさん、後悔しませんか?もしかしたらコネシマさんに二度と会えなくなるかもしれないんですよ?」
「ごめんね、ショッピくん。いつも気にかけてくれて本当にありがとう」
shp「…Aさんがそれでいいなら、俺はもう何も口出しはしません」
「ショッピくん…」
shp「でも、Aさんとコネシマさんには幸せになって欲しいんです。俺の大切な恩人たちですから…」
ショッピくんの表情はいつもの眠そうな顔ではなく、真剣な顔付きで私を見つめると「それじゃあ、おやすみなさい」と言ってリビングを出て行ってしまった。
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