フェイタン好きの為の短編 (ページ4)

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｢え…？｣

フェイが仕事に行ってから1週間は経った頃。
お風呂も入りやることがなくなったため、滅多に開かないハンター専用サイトを久々に開いた。暫くぼうっと色々な情報に目を通していた時に自身の目を疑った。

数枚並んだ写真の中には見慣れた黒髪、特徴的な服、鋭い瞳。他の誰でもないフェイの写真。写真だけではなく懸賞金までかかっていたからだ。

なんでフェイが？と頭に浮かぶ疑問を解決するべく写真をクリックすると思いもよらぬ文字列が目に飛び込む。

｢蜘蛛……？｣

蜘蛛、それはプロハンターなら誰もが知っているような危険度Aクラスの賞金首の盗賊集団、幻影旅団のこと。
幻影旅団の名前自体は知っていたがメンバーの顔と名前まで見ようと思ったことは一度も無かった。
懸賞金をかけているのは今ヨークシンでオークションをしているはずのマフィアンコミュニティであった。書かれているのは『蜘蛛一人につき20億ジェニー』という文字列。
一度に入ってくる情報が多く、頭が混乱する。

フェイは暗殺者じゃないの？何かの間違い…？幻影旅団のメンバー？じゃあ今行ってる仕事は？今フェイはどこにいるの？
色んな疑問が頭の中に浮かんでは沈みを繰り返す中、急にふっとあまり考えたくないことが浮かびあがってきた。

『フェイが隠していたのは、幻影旅団の一員である事』

カチ、カチリ、と頭の中で思考のピースがハマっていく。
フェイが『暗殺』の仕事へ出ている時と旅団の目撃情報の時期が同じであること。
何かを私に隠していると感じていたこと。
あまりフェイ自身のことや仕事の話をしたがらないこと。

気がついたら頬が濡れていた。騙されていた事に傷付いて流れた涙ではなく、愛おしい恋人であるフェイの身を案じて流れた涙であった。

懸賞金一人20億ジェニー…それを狙ってどれだけの人がフェイを狙うのだろう、そう考えると怖くてたまらなかった。頭の片隅ではフェイが強いことも懸賞金がかかった所で捕まらないであろうこともわかっていたが、それでも彼の身を心配してしまう。

しかし、フェイは仕事が終わるまで帰っては来ない。仕事がいつ終わるかも分からないし、仕事の時は電源入ってないから連絡も取れない。
今生きているのか死んでいるのかもわからず…暫く記事を読んで呆然と涙を流していたが、泣いていてもどうにもならない、ヨークシンに行くしかない。ここからそう遠くはないはずだから、フェイを探そう。
そう思い立った時に玄関のドアが開く音がした。