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｢え、
『なにを？』そう聞く前に掴まれたままの腕をぐいっと引かれてバランスを崩す。咄嗟に目をつぶった私の頬に柔らかい感触がした。多分、彼の唇の感触。あまりの急な出来事に何が起こったのかわからず、頭の中にはてながいっぱいの私に、彼はにんまりと微笑んで
｢そのうちこちも頂くね｣
私の腕を掴んでいない右手の人差し指で私の唇をするっとなぞる。
やっと状況が把握出来て、顔に熱が集まる。そんな私をみながら起き上がり、サッと支度を済ませると
｢起こしてくれてありがとね、いてきます｣
そう言って外へ出てしまった。
ガチャリとドアが閉まる音がしてからやっと声が出る。
｢うぅぅ……ずるいでしょ…｣
フェイの行動と言葉にやられた私は真っ赤に染まった頬を抑えながら床に暫くへたり込んでいた。
ーーーーーーーー
『ちょっとフェイー？そろそろ起きなってー』
気持ちよく微睡んでいたら、頬を手のひらでぎゅうぎゅうと押されたのでまたAか…と思い、押してくる腕を掴んでグイッと引く。
｢わっ、と。なんだよ、フェイ。寝ぼけてるの？｣
引いてから目を開けて気付く。引いた腕がゴツい。Aじゃない。自分の頬をぎゅうぎゅうと押していた相手はシャルナークだった。
｢…なんでAじゃないね？｣
｢なんでって言われても、ここアジトだよ？というかAって誰？｣
そう言われてシャルナークの腕を掴んだままガバッと起き上がる。旅団のメンバーにはAのことは面倒だから黙っていたのだ。
｢なんでもないね。忘れていいよ。｣そう言ってシャルナークの腕を離してサッと逃げようとする。このままここにいたら確実に吐かされる。しかし、シャルナークがそれを許す訳もなく、今度はシャルナークがフェイタンの腕を掴む。
｢いやいや忘れる訳ないじゃん、誰なの？｣
｢ち、離すね。喋ることなにもない｣
｢そんな事言わずにさ？Aって誰なのさ｣
『２人ともなにしてんの？』
しつこい、そう言って掴まれた腕と話をを振り切ろうとしたらマチまで話に入ってきた。
｢フェイが寝ぼけて女の名前呼ん｢黙るね｣
｢へぇーフェイが？女なんて珍しいじゃん｣
シャルの言葉を遮るも悲しくマチには伝わり、その言葉でフィンクスやシズクなど、他のメンバーも集まってきてしまった。
結局コインで負けて洗いざらいAとのことも惚気も吐かされたフェイタンだったのは後のお話。
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作者名：シャラ | 作成日時：2019年11月4日 18時
