堕ちた椿と髑髏 陸 ページ29
其の晩、夢を見た。
最後に夢を見たのはいつだったか思い出せないが、妙に既視感があり、同時に懐かしさと違和感を感じさせるような夢だった。
見覚えのある幼い顔付き、だが其れが誰なのかが分からない。果たして此の夢が自分の記憶であるのか、其れとも未だ起こり得ない未来を写し出したものなのか、皆目見当がつかない。
やがて数刻経ったとき、幼子は表情を歪ませて手に持っていた花を手折る。
其の花が、椿の花だと気付いた瞬間に幼子は此方を真っ直ぐに見据え、そして更に表情を歪ませた。唇が真っ赤に裂け、目からは蜜のような液体がどろどろと滴り落ちる。
幼子は境内から降り、ふらふらとした足取りで腕を此方に伸ばしながら一直線に向かって来た。このまま此処に留まっていたら、確実に捕まるだろう。そう思い脚を動かすが、ぴくりともしない。
彼女…幼子が歩いた道筋には椿の花の
小さな手が、直ぐ側まで迫って来ている。
貴「＿＿＿＿_ッ‼」
がばり、と飛び起きた其処はいつも寝ている寝台の上だった。心臓がどくどくと早鐘を打ち、髪は乱れて、肩で浅い息を繰り返す。
私以外誰もいない自室、人気の無い空間。温度の無い静かな空間には唯ひとり、自分だけの荒い息遣いが響いていた。
嗚呼、何故こんなにも寒気がするんだろう。
何故、こんなにも人肌が恋しくなるのだろう?
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小蝶(プロフ) - 匿名。さん» 初めまして、コメント有難うございます。まだあまりd!さんメンバーが登場させることが出来ていなくて…僭越ながら、これからも本作品を楽しんで頂けるように頑張っていく所存です。匿名。様も良いお年をお迎えください…! (2018年12月30日 21時) (
レス) id: 005eaac628 (このIDを非表示/違反報告)
匿名。(プロフ) - こんばんは、コメント失礼します。お話の雰囲気がとても素敵で物語に引き込まれてしまいました…！まだ出てきてないメンバーと夢主ちゃんが今後どの様に絡んで行くのかすごく楽しみです…！更新頑張ってください、良いお年を！ (2018年12月29日 18時) (レス) id: f847969bca (このIDを非表示/違反報告)
小蝶(プロフ) - 鈴蓮さん» 初めまして、コメントありがとうございます。雰囲気が好きって言われるの、とても嬉しいです!更新は不定期になりますが、これからも頑張っていく所存ですのでお付き合い頂けたら幸いです。 (2018年11月25日 13時) (レス) id: 005eaac628 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蓮(プロフ) - コメント失礼します！文章の雰囲気がとっても好きです……！これからも更新頑張ってください！ (2018年11月25日 8時) (レス) id: 4a95fce3d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小蝶 | 作成日時：2018年11月17日 21時
