堕ちた椿と髑髏 肆 ページ27
「其の問題が解けたら休憩な」
貴「……はーい」
既に満身創痍。
算術を教わっているだけなのに、何故こうも体力を消費するのか。
「飲み込みは早くて優秀。
なのにこんな出来ないとなると…問題は學校教育の方やな」
がりがり、と万年筆が紙片の上を滑る。
トントンの教え方はとても上手で、理解するまで何度だって説明してくれる。其れがとても有り難く、同時に少し申し訳無さを感じてしまうのが難儀と云ったところか。
「…Aは何か、俺らに後ろめたい事があるんか?」
貴「え?」
唐突に疑問を投げ掛けられ、万年筆を動かす手がピタリと止まった。黒いインクが溢れ、紙にじっとりと滲んでいく。
「いや、俺の勘違いやったら其れでええ。なんだか少し、俺らと一線を引いてるような気がしてな」
そう言われてふと気が付く。
…自分はそんなに、彼らと一線を引くような行動をしていたと云うのか?
貴「いえ、そんな事は＿＿_」
何故、「無い」と言い切ろうとする?
彼の言っている事は全て本当だ。此の屋敷に身を置かせて貰って、挙句學校にまで通わせて貰い、更には屋敷の"妖達"に優遇されている生活を営んでいる。
一回でも引け目を感じたり、申し訳無いと思ったりした事が無かったとはとても言い切れなかった。
加えて、トントンの方をちらりと見やると、彼は柔らかい表情を浮かべながらも絶対的な視線を此方に投げ掛けている。頬杖をつきながら、此方が話し出すのを待っている。
彼は自分の望む状況下を作り上げるのが本当に上手だ。「本音を話さなければいけない」と相手に思わせてしまうような。
貴「……其の通りです。
私は貴方がたに常に、引け目を感じている」
「其れは何故?」
貴「…現時代は、男尊女卑の風潮が強いんです。女が男性に気を使わせるなど＿＿」
と其処まで言いかけると、トントンは右手の中指と親指で丸を作り、其れを私の額に持って行くと勢い良く、指で額を弾いた。
衝撃的な鋭い痛みが襲い、思わず手で額を抑える。
「俺らが何年生きてると思っとんねん。こっちは二百歳やぞ?そんな風潮、俺らの前ではなんの意味も無いし、そんなん知ったこっちゃないねん。
気なんて使わんで良いわ、アホ。
もうこんなの、家族みたいなもんやろ?」
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小蝶(プロフ) - 匿名。さん» 初めまして、コメント有難うございます。まだあまりd!さんメンバーが登場させることが出来ていなくて…僭越ながら、これからも本作品を楽しんで頂けるように頑張っていく所存です。匿名。様も良いお年をお迎えください…! (2018年12月30日 21時) (
レス) id: 005eaac628 (このIDを非表示/違反報告)
匿名。(プロフ) - こんばんは、コメント失礼します。お話の雰囲気がとても素敵で物語に引き込まれてしまいました…！まだ出てきてないメンバーと夢主ちゃんが今後どの様に絡んで行くのかすごく楽しみです…！更新頑張ってください、良いお年を！ (2018年12月29日 18時) (レス) id: f847969bca (このIDを非表示/違反報告)
小蝶(プロフ) - 鈴蓮さん» 初めまして、コメントありがとうございます。雰囲気が好きって言われるの、とても嬉しいです!更新は不定期になりますが、これからも頑張っていく所存ですのでお付き合い頂けたら幸いです。 (2018年11月25日 13時) (レス) id: 005eaac628 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蓮(プロフ) - コメント失礼します！文章の雰囲気がとっても好きです……！これからも更新頑張ってください！ (2018年11月25日 8時) (レス) id: 4a95fce3d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：小蝶 | 作成日時：2018年11月17日 21時
