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堕ちた椿と髑髏 壱 ページ24





「___新しく學生向けの雑貨店が出来たそうなんです。宜しければ放課後、御一緒しませんか?」
貴「ええ、良いですよ」

終業の鐘が鳴ると、級友達は皆一斉に思い思いに動き出す。楽器や作法の稽古に向かう者もいれば、今私の目の前にいる女學生のように帰途の寄り道を楽しむ者もいる。

「そう言えば、A様の騎士(ナイト)様は今日大丈夫なのでしょうか。」
貴「…あー……」
帰宅の準備を終えると、級友は頰に手を当てて首を傾げる。きっと騎士と云うのは、最近登下校中に私に付き添っている彼等の事だと云うのは直ぐに分かった。
数日前、私が不注意で命を危険に晒したばっかりに、グルッペンが過保護ながらに登下校時間、若しくは外出時に誰か一人を付き添わせると云う決め事を作ったのだ。最初はあまり気にならなかったのだが、いかんせん彼等は顔立ちが良い。良くも悪くも、女學生の目を引きまくってしまうのが悩みの種であった。
貴「私を見張っているだけなので…基本干渉はしないので、多分大丈夫かと」
「左様ですか…では行きましょう、場所は帝都の商店街に有るんです。」

そう言って級友はにっこり笑い、鞄を持って立ち上がった。其の瞬間、彼女から甘く脳味噌を融かすような、不思議な匂いが鼻腔を擽ぐる。何か特殊な香水だろうか?
そんな事を考えながら自分も立ち上がって階段を降り、瀟洒な外観を持つ學校から出ると、中庭の真中辺りで何やら人集りが出来ていた。

「なんでしょう…アレ。
仔猫でも迷い込んだのでしょうか?」

と級友は頭上に疑問符を浮かべている。
人集りの中で、女學生の甲高い声と中央に微かに覗く見覚えのある体格と焦燥の声に、「あれ?」となった。
貴「あれは…多分…」
「あ、A様の騎士様ですか⁈
大丈夫ですか、放って置かれては…」
貴「殺しても死なないような方なので全然問題有りません。さあ行きましょうか。」

何処からか私を呼ぶ声がする。
然し面倒事は避けたい自分の気持ちを鑑みて、其の声は聞こえない振りをした。
……後でちゃんと謝ろう。

堕ちた椿と髑髏 弐→←隠恋慕 玖



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小蝶(プロフ) - 匿名。さん» 初めまして、コメント有難うございます。まだあまりd!さんメンバーが登場させることが出来ていなくて…僭越ながら、これからも本作品を楽しんで頂けるように頑張っていく所存です。匿名。様も良いお年をお迎えください…! (2018年12月30日 21時) (レス) id: 005eaac628 (このIDを非表示/違反報告)
匿名。(プロフ) - こんばんは、コメント失礼します。お話の雰囲気がとても素敵で物語に引き込まれてしまいました…!まだ出てきてないメンバーと夢主ちゃんが今後どの様に絡んで行くのかすごく楽しみです…!更新頑張ってください、良いお年を! (2018年12月29日 18時) (レス) id: f847969bca (このIDを非表示/違反報告)
小蝶(プロフ) - 鈴蓮さん» 初めまして、コメントありがとうございます。雰囲気が好きって言われるの、とても嬉しいです!更新は不定期になりますが、これからも頑張っていく所存ですのでお付き合い頂けたら幸いです。 (2018年11月25日 13時) (レス) id: 005eaac628 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蓮(プロフ) - コメント失礼します!文章の雰囲気がとっても好きです……!これからも更新頑張ってください! (2018年11月25日 8時) (レス) id: 4a95fce3d1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:小蝶 | 作成日時:2018年11月17日 21時

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