【ツイステ】小さなワンダーランド3【短/中編夢小説】

「4年後　1-1」クルーウェル先生夢（リク）感謝です！ ページ7

「…ふむ」
手にした紙を両手で掲げ、ライトに照らす。
何回見返しても、それには赤字の100点という数字と『GoodGirl』の文字が大きく
書かれていた。
「えっお前小テスト100点だったの！？」
隣にいたエースが、点数を折る暇さえなく私のテストを片手で奪い去る。
クシャッと紙が潰れる音が、やけに喧しく響いた。
「返してよー」
出来るだけ小声を出し、彼の肩を叩くが、
返すどころかそのままデュースにさえ見せる始末で、私の御願いは聞いてもらえそうにない。
「おまえすげぇな！魔力無いのに…」
そうして笑っていた彼の口が急にふっと閉じて、
ペンキでも塗られたかのように一気に顔を青くし、
そのままへへっと力なく笑いながら、さっとその紙をすっと手渡してきたので、
出来るだけ傷つけないように、大人しくそれを受け取る。
「(ちょっとくちゃくちゃになってしまった…)」
そして、最後に軽く力を込めて、ダンッと彼を叩いて、
前を向くとそこには件のクルーウェル先生が、片手で鞭を持ちながら、
こちらを見下ろしていた。

はぁとため息をついて、苛ついたように前髪を上げるその姿。
「…っ」
「(なんて格好いいんだろう)」
見ているだけで、ぽうと顔が赤くなる。
…私はいわゆる先生のファンだ。
いくら異世界と言えども周りは所詮男子高校生。
言い方は悪いがほぼ猿と同義な存在が多い。
そんな中で凛と咲き誇る先生の大人っぽさに惹かれない女生徒が果たしてこの世にいるのだろうか？
頭の中での賞賛と拍手が鳴りやまない中、先生はたった一言呟いた。
「バッボーイ。」
そして鞭で彼らの頭を叩いていくその可憐さ。
しなやかな黒手袋から見える手の筋がまたより一層輝いて見えた。
「(はぁ…格好いい)」
自然と手を組み、神に祈るかのように私は彼に頭を下げる。
こんなニヤニヤと厭らしい笑いをした顔など、決して見せれない。
この思いを伝える気はない。迷惑だと分かり切っているから。
そうして強く、唇を結びなおして俯き続けていると、
高らかな靴の音がどんどん遠ざかっていった。
音が止んだ後、ようやく顔を上げると、
先生は教卓に戻って小テストの解説をはじめようとしていたので、
カチャカチャと音をたてながら、急いで筆箱を取り出す。
「(聞き逃しだなんてそんな勿体ないこと出来ない！)」
穴が開くほどに黒板を見つめながら、カリカリと板書を進めた。

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