「誓約 1-1」イデア夢 ページ8
「先輩って死者の国？出身なんです？」
授業終わり、たまたま隣に腰掛けていたイデア先輩にそう問いかけると、彼は勢いよく失礼なほど吹き出した。
「プッ…A氏。確かにグレートセブンの時代には死者の国という物がありましたけれど、この現代においてもうそんなもの在りはしないですぞ。」
口を手で覆い、プークスクスと笑いを零す。
「…」
そんな態度にイラついたので、頬っぺたに手を伸ばして思い切りつねる。
たった小娘の反撃にも抗うことは出来ないのか、彼は身体を固くするだけだった。
「ヒッ」
参ったかと言わんばかりに、力を入れてつねる。
うっすら、いやはっきりと青白いその顔に毛色が増してきた所で、手を放して、さぁ早く言葉の続きをと言わんばかりに腕を組んだ。
「ごめんなさい。調子に乗ってました…」
「よろしい」
ついつい、お分かりだね？とどこぞの2年の先輩の物まねをしたくなるが、それはやめておく。
「それで、出身国？どこなんですか？」
代わりに、先ほど途切れた問いをもう一度投げかける。
今度は、笑いもせずきちんとした顔で私に向き合った。
「そういえば君は知らないんだね。僕は…」
そして言いかけて、言葉を濁らす。
「なっなんでそんなこと知りたいの？」
先ほどから赤くなったり青くなったりと忙しい人だ。
どんどん丸くなる猫背を手で正して、私も彼の問いに答える。
「情報収集です。」
帰るも帰らないも、いかんせん私はこの国のことを知らなさすぎる。
もし、このまま学園を卒業してしまった時、この知識量で外の世界へ羽ばたこうとすれば、
その瞬間に撃ち落されて鍋にでもされてしまうのがオチだ。
で、あるならば今のうちに外の世界についても知っておいて、
後々異世界人(魔法が使えない)でも過ごしやすい国に移住しよう！
と、その様な浅はかな考えで、近頃私は『情報収集』に働いていた。
そして上の考えを全て先輩に告げると、納得したと言うようになるほどね、と呟かれる。
「君は、偉いね」
はぁ、と目を伏せ、彼は忌々しげに口を開く。
「僕は嘆きの島出身」
「嘆きの島ですか」
『嘆き』
悲しさ、恨み、憎しみ…思いつく限りのマイナスな印象を思い浮かばせるその単語を、名前の一部とするのはどうなのだろうか。
(これも常識の違いなのかな)」
私が真の意味で、この世界に馴染む遠い遠い未来を考えて、肩を落とした。
「誓約 1-2」→←「期限付きの関係」エース夢（リク感謝です！）
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ていていて(プロフ) - 飛鳥さん» ２にての話数が足りなくなってしまったので、3の方でトレイ先輩夢載せさせて頂きます…！お手数ですが3の方にお飛びください…！（再度のリク有難うございます…！） (2020年4月24日 0時) (
レス) id: 07fa99b89e (このIDを非表示/違反報告)
飛鳥(プロフ) - またトレイ先輩のリクエストで大変恐縮なんですが、主人公が怒られちゃうお話もし可能でしたらお願いしたいです…。 (2020年4月17日 2時) (レス) id: e991a9fa95 (このIDを非表示/違反報告)
タコのトランプ(プロフ) - とっても素敵なお話ばかりで切なくなったり背筋が冷えたり楽しいです！よければジャミル先輩のを書いてください！お願いします。 (2020年4月16日 18時) (レス) id: 27b3bc46a1 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ - 本当に最高のお話でした..！！読んでいると、切ない気持ちになりました！素敵なお話をありがとうございました(≧∀≦) (2020年4月12日 9時) (レス) id: 2ef73a5082 (このIDを非表示/違反報告)
おかゆ - あと、リクエストお願いしてもいいでしょうか..？可能であれば、レオナさんとのお話をお願いしますm(_ _)m (2020年4月11日 18時) (レス) id: 80b818e3ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ていていて | 作成日時：2020年4月3日 0時
