終わりのセラフ〜守れなかったもう一人の家族3〜

第6話 ページ7

「ああ、これ？気になってる子が居てね、その子がよく図書室で読んでる絵本らしいんだ。どんなのかな〜どんな思ってね。暇だし、持って来たわけ♪」

「絵本以外にもあるよね？」

「あー、これはね。また別の子が最近読み漁ってるらしいんだ。これもどんな本かと思ってよく見ずに持って来たら普通の広辞苑だったよ。しかも、日本語の。」

「フェリドさんは英語とかなの？名前的に。」

「ん？いや、読めなくはないけど、確かにAちゃんの言う通り、英語とかラテン語の方が慣れてるかなぁ。」

教育が途中止まりの彼女は自分は日本語さえ危ういのに多国語となるとてんで駄目だなと思い、素直に苦笑する。

「この絵本さあ、内容的にキリシタンが書いたのかと思ったけど、原作は日本なんだね。
でも、絵本にしたら内容がグログロな気がするんだよね〜。」

「どんな絵本……なんですか？」

敬語を忘れていたことを今更ながらに思い出し、彼女は敬語を付け足す。

それをフェリドは「別にタメ口で良いよ。」と笑みを(基本常にだが)浮かべる。

「天使ミカエルのお話し。」

「天使の中でも最下層の地位に産まれた幼きミカエルは、視えもしない下界に憧れる変わり者の少年天使だった。
彼は下界を生で視たいが為に、唯々ひたすらに勉学に励んだ。
上に行くには力が必要だと鍛錬(たんれん)にも励んだ。
成長した彼はとうとう上位の地位に就くことが出来た。一握(いちあく)の天使しかなることのない地位に就けたのだ。
憧れの下界の姿を目の当たりにした彼は______________。」

「そう……堕天した。」

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