検索窓
今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:53,534 hit

# ページ14

hk


俺はいつもいつも、体育祭の何が楽しいのか謎で。
観察日記のペンはもう流れるように動くのだが、足はノロノロだった。いつも日陰に入ってクラスを遠くから眺めて、正直その場所に安心していたのかもしれない。

だけど、今回の体育祭は、今まで見ていた景色とは全く別物だった。

薮に椅子を運ばれ、その椅子の位置は薮の隣。座れ座れと言われて断ることもできずに腰掛けると、薮は俺の肩を組んで、一緒に応援すんぞ、って。

クラスのみんながいろんな競技で頑張るのを、俺は初めて近くで見た。いつも何の競技にも出ない俺だけど、今日みたいな体育祭なら、なにか出てもよかったかなって思った。それくらい衝撃的だった。

ふと隣の体温が離れたと思うと、その手が俺の頭へ伸びる。


薮「俺、絶対勝つから、応援してよ」


そう言うと、そっと手が離れた。なんだか目が離せなくて、しばらく歩いていく後ろ姿を眺めていると、伊野尾ちゃんには冷やかされた。そんなつもりじゃないのに。

本当にそんなつもりはない。好きとか、わからないもん。

だけど…

少なからず俺は、薮を嫌いではなかった。むしろ好きだった。
それが恋愛のそれではないんだけど、頭を撫でられるのも、嫌な気はしないんだ。

たしかに周りからの視線やひそひそ声は少し傷つくけれど、もともと失うようなものを俺は持っていないし、俺の方がびっくりしてるんだから。あの薮宏太が、まさか、なんで俺、って。


伊「ひかる!ほら前見て、こりゃひかる争奪戦だわ、うひゃ〜見ものですな」


伊野尾ちゃんに呼ばれて我に帰った俺は、前に視線を戻す。
まさか大将が薮と中島くんだなんて、俺はその時初めて知った。

#→←mind#



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (214 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
601人がお気に入り
設定タグ:やぶひか , Hey!Say!JUMP
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:れもん。 | 作成日時:2018年5月27日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。