# ページ14
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俺はいつもいつも、体育祭の何が楽しいのか謎で。
観察日記のペンはもう流れるように動くのだが、足はノロノロだった。いつも日陰に入ってクラスを遠くから眺めて、正直その場所に安心していたのかもしれない。
だけど、今回の体育祭は、今まで見ていた景色とは全く別物だった。
薮に椅子を運ばれ、その椅子の位置は薮の隣。座れ座れと言われて断ることもできずに腰掛けると、薮は俺の肩を組んで、一緒に応援すんぞ、って。
クラスのみんながいろんな競技で頑張るのを、俺は初めて近くで見た。いつも何の競技にも出ない俺だけど、今日みたいな体育祭なら、なにか出てもよかったかなって思った。それくらい衝撃的だった。
ふと隣の体温が離れたと思うと、その手が俺の頭へ伸びる。
薮「俺、絶対勝つから、応援してよ」
そう言うと、そっと手が離れた。なんだか目が離せなくて、しばらく歩いていく後ろ姿を眺めていると、伊野尾ちゃんには冷やかされた。そんなつもりじゃないのに。
本当にそんなつもりはない。好きとか、わからないもん。
だけど…
少なからず俺は、薮を嫌いではなかった。むしろ好きだった。
それが恋愛のそれではないんだけど、頭を撫でられるのも、嫌な気はしないんだ。
たしかに周りからの視線やひそひそ声は少し傷つくけれど、もともと失うようなものを俺は持っていないし、俺の方がびっくりしてるんだから。あの薮宏太が、まさか、なんで俺、って。
伊「ひかる!ほら前見て、こりゃひかる争奪戦だわ、うひゃ〜見ものですな」
伊野尾ちゃんに呼ばれて我に帰った俺は、前に視線を戻す。
まさか大将が薮と中島くんだなんて、俺はその時初めて知った。
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作者名:れもん。 | 作成日時:2018年5月27日 17時