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その日の任務帰り、喉が乾いてしまってAが茶屋で一服していると、突然目の前に此処にはいるはずのない人間が立ち止まる。

「…え、義勇さん?」

聞けば、形だけは恋仲ということになったものの、一度触れてしまえば歯止めがきかなくなりそうでここ一年Aを避けていたのが申し訳なく、せめてもの詫びにAの好きな団子でも買って帰ろうとしていたらしい。

「まさかお前の気持ちが本気だとも知らず、…悪いことをした」

そう言って視線を落とす義勇にAは慌てて首を横に振って、「謝るのは私のほうです」と言葉を返す。

「義勇さんの好きが、…その、そういう好きだとも知らず…兄と慕わせてほしいだなんて、すごく傷つけてましたよね」
「…いいや」

そのままAの隣に座った義勇は、何か考えこみ迷うようなそぶりを見せたあと、真剣な表情でAに目を向ける。

「俺は…鬼の禰豆子が人を食うことがあれば、腹を切ると約束した」
「はい」
「だが…そんな事態になるとは思ってもいないし、もし最悪そうなってしまった場合には…介錯は、Aに頼もうと思う」
「!」

義勇の言葉に驚いたように目を見開くAは、「義勇さん、」と不安げに義勇の名を呼ぶ。

「大丈夫だ。炭治郎が迷った時には、代わりに俺が禰豆子を斬る。最悪の事態には…ならない」
「……」

義勇のその強い覚悟に何か言葉を返すのは違う気がして、Aは真剣な義勇の瞳を見つめながら、何度もうなづいてみせる。

「…俺の命は、お前のためにある。俺が最期の瞬間まで共に生きるのは、お前だ。…A」

そう言って柔らかく微笑んだ義勇は、「義勇さん…」と瞳を潤ませるAの手に、自らの手をそっと重ね合わせる。

「…それはつまり、私を娶ってくださるということですか?」
「…。それは…、いや、そうだな。…結婚しよう」

一瞬迷いを見せた義勇は柔らかい表情でAの望む言葉を口にしたあと、ゆっくりとAの指に自分の指を絡ませる。

「ふふ。これでやっと、本当の家族ですね」
「ああ」

一連のやりとりを見ていたAと義勇のカラスは、炭治郎や鱗滝、他の鬼殺隊士たちに二人の吉報を知らせるべく、静かに静かに、その場を飛び立った。

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チーズ(プロフ) - レインさん» コメントありがとうございますー!!不器用、じれったいをモットーにして書いたものなので、そう言っていただいて嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございます! (2019年12月17日 21時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 義勇さん不器用すぎていつ、くっつくんだ!早くくっつけ!クソッ!!見てるこっちがなんかアレだ!!(語彙力) 面白い!! 完結おめでとうございます! (2019年12月17日 20時) (レス) id: 05e6c43b69 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - たまごさんさん» 最後までお付き合い頂きありがとうございます!!そうだったんですね!嬉しいです!次作でもどうぞよろしくお願いします! (2019年12月1日 7時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
たまごさん(プロフ) - はああ・・・やはり良きです・・・完結おめでとうございます!!無惨様の作品は知らず知らずのうちに見ていました!!好きだなあと思って、作者誰だろ?と下にスクロールしたらまさかの・・・。僭越ながら次作でも応援させていただきます!! (2019年12月1日 0時) (レス) id: 8760f7a678 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - orangeさん» こちらこそ、最後までお付き合い頂きありがとうございます!ぜひ書かせていただきます(^^)もうしばらくよろしくお願いします! (2019年11月30日 23時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:チーズ | 作成日時:2019年11月13日 13時

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