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Aと義勇が無事恋仲になってからあっという間に一年ほど経ってしまったあとも、Aと義勇はなんの進展もなく、Aの階級が上がって任務が忙しくなるにつれて、挨拶すらできないまま数日過ごすことも多くなってきていた。
「おやすみなさい…」
その日も、Aが寝る頃には帰れると思うと言っていた義勇が帰ってくることはなく、Aは誰に言うでもなく挨拶をして、静かに床につく。
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Aが目を閉じてしばらく経った頃、気配なく静かに帰ってきた義勇に気付いたAは、慌てて起き上がり玄関まで義勇を出迎えに行く。
「おかえりなさい、義勇さん」
「…起きていたのか」
「いいえ。ちょうど目が覚めてしまったんです」
義勇と少しでも会えて嬉しそうに微笑むAを尻目に、義勇はAを追い越して早足で自室へと歩いて行ってしまう。
「お湯を張りましょうか」
「必要ない」
「夕食は…」
「済ませてきた」
そのまま自室へと入り戸を閉めてしまう義勇に、Aは静かに息を吐いて、やはり自分は避けられているのだろうか、とこの一年間ずっと気のせいだと思い続けてきた事実をいよいよ認めざるを得なくなってくる。
好きだと言ってくれたあの日、自分は何か粗相をしてしまったのだろうか、と考えを巡らせるも、心当たりは何もなく何故避けられてしまっているのか見当もつかない。
何か至らない点でもあっただろうか、と考えてみても、避けられる前と何か違う行動はしていないはずだし、嫌われる要素もないはず…と、とにかく義勇の行動の意味が分からなかった。
「…寝ないのか」
「!…ごめんなさい。考え事をしていて…」
布団で起き上がったまま考え事に夢中で、義勇が寝室に入って来たことにすら気付かなかったAは、驚きでドクドクとうるさい心臓に手を当てながらそう返事する。
「任務のことか」
「…そうですね、最近難しい任務も増えてきましたし」
「…無理は、するな」
そう言ってAに背を向けるようにして横になってしまった義勇に、Aも大人しく布団に横になる。
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チーズ(プロフ) - レインさん» コメントありがとうございますー!!不器用、じれったいをモットーにして書いたものなので、そう言っていただいて嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございます! (2019年12月17日 21時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 義勇さん不器用すぎていつ、くっつくんだ!早くくっつけ!クソッ!!見てるこっちがなんかアレだ!!(語彙力) 面白い!! 完結おめでとうございます! (2019年12月17日 20時) (レス) id: 05e6c43b69 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - たまごさんさん» 最後までお付き合い頂きありがとうございます!!そうだったんですね!嬉しいです!次作でもどうぞよろしくお願いします! (2019年12月1日 7時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
たまごさん(プロフ) - はああ・・・やはり良きです・・・完結おめでとうございます!!無惨様の作品は知らず知らずのうちに見ていました!!好きだなあと思って、作者誰だろ?と下にスクロールしたらまさかの・・・。僭越ながら次作でも応援させていただきます!! (2019年12月1日 0時) (レス) id: 8760f7a678 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - orangeさん» こちらこそ、最後までお付き合い頂きありがとうございます!ぜひ書かせていただきます(^^)もうしばらくよろしくお願いします! (2019年11月30日 23時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ | 作成日時:2019年11月13日 13時