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つかの間の旅行から戻り、その後も以前と変わらずにお互いに目が回りそうなほどの量の任務をこなし、そんな二人を心配した周りから、夫婦生活の時間はちゃんととれてるの?などと言われ続けること約一年。
「ただいま」
「おかえりなさい。…ごめんなさい、義勇さん。私も今帰ってきたばかりで、夕食の準備が…」
「ああ。俺も手伝う」
何だかんだお互いに協力し合わないと回らない生活なので、周りが心配するほどすれ違ってはおらず、むしろ以前より義勇の気遣いが分かりやすくなったからか、逆に会話は増えたくらいだった。
「義勇さん、私明日も遅いんですけど…お米もお野菜もこれで終わりで…」
「俺が買っておく」
「でも義勇さん、明日も一日任務ですよね?」
「場所は遠くない。それよりA、」
作業を止めてじっとAの顔を見つめる義勇に、Aもつられて作業を止めて、義勇の顔を見つめ返す。
「…顔色が悪い。夕食は俺が作るから、休んでいろ」
「え、でも…」
包丁を取り上げられて椅子に無理やり座らせられたAは、たしかに結構体調が悪いのもあったので、義勇の気遣いに甘えさせてもらって、そのまま座っておくことにする。
「…腹が痛いのか」
「はい…。月のものもしばらく来てませんし、少し、無理が祟ったのかもしれません」
「…明後日なら、午後の任務を代わってやれる」
「そんな、悪いですよ」
ああ、やっぱり義勇さんは優しいな。
そんなことを思いながら、なかなかに激しい痛みを訴えてくる自分のお腹に、Aは少しでも気を紛らわそうと手のひらをきつく握って爪をたてる。
次の瞬間、温かいものが下半身を伝うのを感じてAが目線を下に向けると、水が滴り落ちる音と共に、床が透明な液体で水たまりを作っていた。
「A?」
「!…え、お、お漏らし?でしょうか!はっ、恥ずかしい!すぐに拭きますね!」
慌てて立ち上がったAの下半身から再び透明の液体が滴り落ちてきて、Aは顔を真っ赤にしながら慌ててその場に座り込む。
「にょ、尿意は無いのですが…!本当にごめんなさい!」
「いや、いい。それより少し、横になった方がいい。顔色も先ほどより悪い」
そう言ってAを部屋まで運んだ義勇は、濡れたAの着物を優しく脱がせて新しいものに着替えさせようとした時、「痛い!」と言ったAが、縋り付くように義勇の腕を握る。
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チーズ(プロフ) - レインさん» コメントありがとうございますー!!不器用、じれったいをモットーにして書いたものなので、そう言っていただいて嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございます! (2019年12月17日 21時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 義勇さん不器用すぎていつ、くっつくんだ!早くくっつけ!クソッ!!見てるこっちがなんかアレだ!!(語彙力) 面白い!! 完結おめでとうございます! (2019年12月17日 20時) (レス) id: 05e6c43b69 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - たまごさんさん» 最後までお付き合い頂きありがとうございます!!そうだったんですね!嬉しいです!次作でもどうぞよろしくお願いします! (2019年12月1日 7時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
たまごさん(プロフ) - はああ・・・やはり良きです・・・完結おめでとうございます!!無惨様の作品は知らず知らずのうちに見ていました!!好きだなあと思って、作者誰だろ?と下にスクロールしたらまさかの・・・。僭越ながら次作でも応援させていただきます!! (2019年12月1日 0時) (レス) id: 8760f7a678 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ(プロフ) - orangeさん» こちらこそ、最後までお付き合い頂きありがとうございます!ぜひ書かせていただきます(^^)もうしばらくよろしくお願いします! (2019年11月30日 23時) (レス) id: eb72564922 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チーズ | 作成日時:2019年11月13日 13時