メガネちゃんと王子様っ！ (ページ30)

今日:5 hit、昨日:7 hit、合計:172,682 hit

『 29 』ページ30

『……辛い、です…。辛くて、しんどくて、嫌なんです』

HS「うん」

『掃除なんてっ…好きじゃないのに…！本当は、友達作ってお弁当一緒に食べたり、放課後に遊んだりしたいのに何一つ叶わなかった…！！

せっかく、テヒョン君と仲良くなれそうだったのにやっぱり私は貧乏だから隣に並ぶとすごく惨めでもっと辛かった！』

HS「…そっか。」

『だから、酷いこと言った…。今は、その方が…ずっと辛いです』

最後に聞いたテヒョン君の寂しそうな声がずっと心残りだった。
友達じゃないのに、友達と喧嘩したみたいでずっと心が痛かった。

元の生活が1番だなんて言い聞かせながらも体育大会の日に沢山応援してくれた3人を思い出すとすごく寂しくてそれと同時に横に並べない自分がさらに惨めに思えた。

全部、自分の責任。
テヒョン君達は、悪くない。

HS「こんなこと言って脅すつもりじゃないんだけどさ…

俺が見てきた中で特待生が卒業していく姿は1度も見た事がないんだ」

『え？！』

HS「表向きでは上を目指す学力があるのに経済的面で叶わない人を救いたいなんて謳ってるけど実際は色んなストレスに悩まされる財閥の子供たちの発散のために作られた制度なんだよ。

だから、どんなに優秀な人が入学してきても貧乏を理由に周りから虐められて1年も経たないうちに辞めていくのが決まり。」

ホソク先輩は膝に置いていた手をｷﾞｭｯと握りしめた。

HS「だから、俺はこの制度が嫌いだった。さっさと廃止にすればいいのにって思ってた。

でも、Aちゃんにあの日会ってちょっと気持ちが変わったかも」

『わ、私ですか…？』

HS「だって、絶対に直るわけないのにあんなバラバラのハチマキをパズルみたいに組み合わせてるんだもん笑

思わず笑っちゃったよ」

あ……あの日…。
なんか、思い返したら恥ずかしい。

HS「普通あんなんされたら参加しないで帰るのに諦めないでどうにかしようとするAちゃんを見て、この子は強いなぁって思ったんだ」

『私は、強くないです。自分の気持ちなんて話せないし、今こそこうやって話せるけどメガネがなきゃ人の顔も見れない…し…』

HS「十分強いよ。そして、きっともっと強くなれる」

『もっ…と？』