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周りに人は居ない。

居るのは、顔を赤く染めた男女2人だけ。

それは絶対に、夕日のせいなんかじゃない。

どうして急に抱き締めてきたのかは分からないけど…

私はこの状況でどうしたら良いの…。


『…天馬さん』


司「類から聞いたぞ。 嫌な音を聞かされた、と」


『それは…そうですけど…っ、天馬さん…!?』


そっと耳を撫でてきた。

嫌な音を取り除くかのように、優しく触れられるから尚更くすぐったい。

目線を少し上にあげると、天馬さんは目を細めて私を見つめた。

不意に目が合って、なんとなく逸らしてしまう。


司「フッ…何故逸らすんだ?」


『な、んとなく…です』


司「……なぁ、A」


ゆっくり、噛み締めるように私の名前を呼ぶ。

ぎゅっと更に密着して、耳元に天馬さんの吐息がかかる。


司「オレ達は同じ歳だし、もうそろそろ敬語を外してくれても

  良いんじゃないか?」


『…でも、天馬さん達は私の恩人なんですよ?

 そんな簡単に外すなんて、私はしませんし、できません』


司「…そうか、それなら、」


ふぅ、と耳に息を吹きかける天馬さん。

思わずぞわっと全身に鳥肌が立つ。

そんな私の反応を見て、天馬さんはにやりと口角を上げた。


司「オレに敬語を外してくれるまで離してやらないぞ?」


『っ〜!』


…意地悪。

そんな私らしくない可愛いセリフは、心の中のヒロインに渡して

私はただ恨めしく天馬さんを睨んだ。


〜類side〜


司くんとAくんの居なくなったカフェの席。

窓側のその空白の席は、オレンジ色に塗りつぶされている。

2人はどうしてるかな。

あの時、司くんが出てくるとは思わなかったけどね。

さっきだって、司くんは僕を見くびっている。

自分の電話番号だけを渡せば良いのに、僕の分まで渡すなんて。


…大丈夫、Aくんは僕が攫ってあげるから。


いつだってそうだったはずだ。

主役の王子様とヒロインのお姫様は結ばれる。

その間、必ず悪役の怪盗がお姫様を攫いに来る。

…そうさ、僕は悪役の怪盗だ。

ただ、1つ違う所は最後まで怪盗である事。

司くん(王子様)には渡さない。


────


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設定タグ:プロジェクトセカイ , 天馬司 , 神代類   
作品ジャンル:恋愛
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ramune - めいさん» コメントありがとうございます!きゅんきゅんしてくれて嬉しいです。僕も親の前だと一人称変えてますよ笑 (2023年3月4日 23時) (レス) @page35 id: a4dd4a8261 (このIDを非表示/違反報告)
めい - まじで最高です!26話キュン死とかしそうてか僕もネット上では一人称僕ってゆってます!リアルは引かれるのでやめてますけどねw (2023年2月26日 15時) (レス) id: 1a8f013e22 (このIDを非表示/違反報告)
ramune - もぐもぐさん» ぎゃー!!ありがとうございます!!この作品にそんな時間を掛けて下さるとは…!次回作も内容しか思いつきません!ありがとうございます! (2022年12月23日 19時) (レス) id: b281f98d72 (このIDを非表示/違反報告)
もぐもぐ - 今日話全部読んでみました.....!!!マジめっちゃ話面白くて、一気に読んじゃいましたwほんといい話でした。感動だぁ!もうずっとドキドキしっぱなしでしたwまた楽しみにしてます! (2022年10月15日 23時) (レス) @page46 id: 813177f50b (このIDを非表示/違反報告)
ramune - 海月ルナさん» ありがとうございます申し訳ございません…!! (2022年10月4日 21時) (レス) @page42 id: b281f98d72 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ramune | 作成日時:2022年5月11日 19時

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