気怠げな青年は、あの日からシクフォニの茶色担当です。

「れーと」誕生 ページ8

れとsaid

母さんも仕事に行き、早々に課題を片付けて今はオーディションに応募するための書類を書いている。

玲「…」

がしかし、とある欄でキーボードを打つ指が止まる。

［活動名］

活動名…

千「キーボードん音聞こえんくなったばってん、何で止まっとーと？」

玲「…活動名…」

祥「王へんに冷たいの『玲』と都会ん『都』で『玲都(れいと)』」

千「それ本名やけん絶対ダメなやつ…」

玲「どうしよ…」

千「いれいすの皆は結構適当やけん、変な名前じゃなかりゃああんまり悩まんでもいいっちゃない？」

玲「いれいすの人達適当なんや…」

祥「『チョコ』」

玲「…なんかあからさまでいやだ」

千「じゃあ後ろとって平仮名で『れーと』」

玲「…それ採用」

なんで俺のはダメなんだと騒ぐ祥羽を尻目に活動名を打ち込む。

…ん？

あれ…？

玲「なんか本名に似とー」
祥「本名に似とらん？」
千「本名に似とー？」

偶然同じようなことを言って三人で顔を見合わせる。

玲「しょうさんとちーさんな双子だしわかるばってんさぁ…w」

祥「なんで俺らと同じこと言いよーとw」

千「遺伝子えずかw」

祥「まぁ、兄さん育てん親だしなw」

玲「育ててな…育てとーわw」

千「どっちw」

まだ収まりきらない笑いを堪えて画面に視線を戻す。

［将来の夢］

玲「…」

…将来の夢、か

こういうのはあれか、あのー…

やっぱり日本の首都にある某ドームでライブとか、そういうのを書いておくべきなのか…

いやー、でもな…

下手に自分を飾る(偽る)のも嫌だし…

ここは正直に書いておくか、と心を決めてキーボードを打つ。

歌い手にあまり関係ないような気がするけど、もう打っちゃったのでしょうがないという言い訳をしておこう。

最後の項目…

玲「…はぁ…」

歌を、録ってこいと。

マイクも持ってない、mixやらなんやらをしたことない素人(しろうと)にそんな難題を…

いや、あれか、歌のあれこれと同時に本気度を確かめる的な…

でも、なれるかわからないのにマイクやらなんやら買わせるか？

まさか経済を回したいんだろうか？

…それはない。冷静に考えて。

玲「大事なんなそこやなかよね」

千「なにがー？」

玲「いや、なんでもなか。ちょっと歌うけんしゃあしかったらごめん。」

祥「むしろ聴くけん問題なか。」

玲「恥ずかしかけん聴きなしゃんな！」



なんかこさめさん学校やめて本気でプロ目指すってマジすか…
しかも前まで博多弁って…え？

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