episode7 ページ9
どうしよう。
初めての自己紹介、知らないあたしの一個下位の年齢の男子、余り知らない環境。
情報の波に飲まれて鼓動が早くなって行く。
背中を汗が覆い込んでいって服に張り付いている。妙に暑い。
たった1秒。ただの1秒。されど1秒。
その1秒がとても長く感じる。
冷たい酸素が口に入って生温い唾液と混ざって溶けていく。
滲み出てきた手汗を握りながらあたしは口を開いた。
『は…はじめまして。Aです。適当に呼んで下さい。
日中はマネージャー、夜から朝方は警備をします。
マネージャー業務は不慣れですが警備は精一杯務めさせて頂きます。
宜しくお願いします。』
要らない情報を言ってしまったかもしれない。
口調が可笑しかったかもしれない。
そう気付いたのはもうとっくに自己紹介も終わった後だった。
心なしか選手達まで不安そうな顔をしていた。
『完っ然にやらかした…。』
「大丈夫だよ〜!私なんてもっと変だったし!自己紹介くらいでそんなに落ち込むこと無いって〜♪」
今はマネージャー部屋で雑談をしている。
因みに七音ちゃんとはタメ口で話せるくらいには仲良くなった。
まあ、あっちが仲良くしようって言ってきたんだけどね。
そろそろ警備の時間帯だ。
『そろそろ警備だから外出るね。七音ちゃんは寝なよ。』
と言って扉を締めた
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作者名:メレンゲドール | 作成日時:2023年10月8日 21時