episode14 ページ17
自分の体よりも一回りくらい大きい喪服みたいなコートを着たそいつ。
口元は笑っているが目の奥は笑ってすらいない。怒っても、泣いてもない。
無感情。というのが正しいだろう。
“危なかったね。もう少しで死んでた。”
当然のように話すそいつに震える。
そいつにとって死は隣り合わせなのかもしれないけど、こちとら急に死を突きつけられて動揺していた。
“君、視えてる側なの?だとしたら気を付けたほうが良い。そいつは自分を視ていると気づいた奴から56していくからね。”
ウフフと笑っているそいつの頭の中が理解できない。
まるで得体のしれない何かを相手にしているかのような感覚が気持ち悪い。
まるで少しずつ麻痺していくような感覚がなんとなくの不快感を味わわせてくる。
“もうっ!こんなところで何をしているのっ!”
突然、ヒステリーな女の声が聞こえた。
そいつと同じようにその女も長いコートを着ている。
突然、そいつの顔がぐにゃっと歪められた。
まるで恐怖に怯えるような顔。
さっきまでの姿とは想像できねぇ位の顔だった。
その女はそいつの腕を目一杯引っ張りコートを翻して歩き去っていった。
そいつが一瞬見せた怯えたような目を忘れることができない。
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作者名:メレンゲドール | 作成日時:2023年10月8日 21時